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61.最大の窮地

大ピンチ到来!

「はっ?今、何と???」

九之池は、素で答えてしまった。


「今、説明したとおりだ。

明後日に会う。それだけだ」

とエドゥアールがめんどくさそうに答えた。


「いや、しかしですね。確か王都には

いらしゃらないと言っていたと思いますが、、」

と九之池が再度、聞いた。


「おっおまえは、話を聞いていないのか?

何度も同じことを言わせるな。

明後日に会うことになった。

今、王都にいるのか、こちらに向かって

来ているのかは知らないが、

兎に角、そういうことだ。いいな!

それ以上、グダグダ言うな。話が進まない」

とエドゥアールがいらいらを募らせて、答えた。


「とっ突然、言われても心の準備ができませんよ。

困ります」

と九之池がうろたえる様に言った。


「ちょっと、待て。公都を出てから、

何日あったと思ってるんだ。

今更、何を言っているんだ、お前は」

呆れた口調でエドゥアールは九之池を怒鳴りつけた。


「ふうううううぅぅぅ、何を話せばいいんですか?」

と九之池が不貞腐れて、面会の主旨を尋ねた。

突然の九之池の切り替えにエドゥアールは、

きょとんとして、黙ってしまった。


そして、九之池はそんなエドゥアールの表情を

見て、更に畳みかけた。

「ええ、会うのはいいですよ。

その稲生さんとやらに!

会いますよ。

でも主旨はしっかりと説明して貰わないと

何を話していいかわかりませんよ。

当たり前ですよね」


九之池は稲生との面会に関して、

具体的な目的を考えてもいなかったし、

聞きもせずにここまで旅をしてきていた。

故にこの旅であった死ぬような

出来事は別としても気ままに過ごしきた。

そのため、実際に会うための準備なんぞ、

全くしていなかった。

最悪なことは、ここまでの旅であまりに

色々なことが起こり過ぎて、

すっかりと九之池は、自分が言い出したことが

この旅の始まりであることを失念していた。


「おまえは送り出して頂いたシリア卿の話を

何も聞いていなかったのか?それとも忘れたのか?

そもそもおまえが行くと言い出したことだぞ。

それにこの旅にどのくらいの国費と国の労力が

かかっているか考えたことはあるのか!」

と屁理屈の限りを尽くす九之池に

エドゥアールは怒鳴りつけた。


この二人の問答をメープル司祭は

諦めたような表情で、才籐は不審な表情で、

ルージェナは心配そうに、

ヘーグマンは面白そうに見ていた。


言い終えたエドゥアールは肩を怒らせて、

九之池を睨みつけた。

九之池は、言われるがままであったが、

どうやら無の境地を発動しているようであった。

つまり九之池は、右から左に

聞き流している状態であった。


「さてさて、怒鳴り合いはそのくらいにして、

国の要人である稲生様にお会いできるのですから、

みなさん、有意義な一時になるように。

くれぐれも個人の事情を優先しないように」

とヘーグマンが助け船を出した。


会うことが確定したこのタイミングまで、

九之池は、会わなくて済みますようにと

願っていた。

そして、相手の事情や他の件で会わなくて

済むようになりますように他力本願なことを

考えていた。

そのために実際に会うということに関しては、

ほとんど考えておらず、会ったときのことは

先送りにしていた。


「エドァールさん、あまりおっさんの態度は

気にすることねえよ。

この手のことを多分、昔から

繰り返していただろうからよ。

突然のことは別として、嫌なことはぎりぎりまで

回避したいと夢想して、追い込まれたら、

徹夜で何とかって感じだろうからよ」

と才籐が取りなしているのか、けなしているのか

よく分からないことをエドァールに説明した。


「まあ、おっさん、諦めて、残りの二日、

死に物狂いで考えるんだな。

本当に自分が言い出したことならな」

と九之池に伝えると、

街をぶらつくと言って、部屋を後にした。


「死に物狂いって、そんな。知らない人と

どんなことを話せば」

と追い込まれた九之池は、床を見つめて呟いた。


嫌なことは後回し~ありがちです

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