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60.就寝時間2

夜は早く寝ること

翌日、王都に戻った九之池たちは、

まず、ギルトでミッションの報酬を受け取り、

宿でメープルとエドゥアールに事情を説明した。

説明を受けた二人は、明日、王朝のシン将軍に

伝えるためにヘーグマンを伴って向かうことにした。


「司祭、稲生さんには面会できそうなんですか?」

とその晩に九之池は尋ねた。


「ダイジョブかと思いますが、

まだ、了解は得られておりません。

最終的に二つのもどき情報の詳細と

引き換えで可能となるでしょう。

3,4日後には、許可が下りると考えています」

若干、上気した面持ちで司祭が現在の状況を説明した。


「へぇぇ、稲生さんって政治の要人みたいですねー。

面会の会話が全て記録されるとか、

面会の一部始終が見られているとか

ありそうな感じですね」

と皮肉を込めて、九之池が感想を述べた。


「いえいえ、そんなことはありません。

重要な研究に携わっているためです。

稲生様自身は、お優しく勇敢で、

機知に富むユーモラスな方ですよ。

問題があるとすれば、稲生様にまとわりついて、

純粋な稲生様を誑かして、

あまつさえ既成事実まで作って、

ちゃっかりと妻の座に居座った女です」


夢見る乙女の様に語る司祭が、

めずらしく、後半、鼻息荒く暴言を吐いていた。

普段の冷静で公平に見える司祭の表情の変化に

九之池は、よっぽどひどい目にあったと想像し、

その嫁の立場の女性には近づくまいと思った。

そして、稲生という同じ世界の出身であり、

話を聞く限り、なんとなくであるが、

気障で嫌味なイケメンという自分が

苦手とする男の印象を更に強めていた。


才籐は、二人の会話を聞きつつも

今回はなんの突っ込みもいれず、

むすっとした表情で剣の手入れをしていた。


「九之池さん、九之池さん。

稲生夫妻についてのメープル司祭の言葉を

あまり鵜呑みにしてはダメですよ。

司祭にしては、話すときにめずらしく感情を

高ぶらせていますし、どうも妻の方は

恋敵ようですし。

巻き込まれるとえらことになりますよ」

とルージェナが耳元に熱い吐息と

共にこそっと囁いた。


九之池は、熱い吐息に若干、

むらむらしてしまい、椅子に座りながら、

ズボンのポケットに左手を入れて、

下半身をもぞもぞとさせてしまった。


「おっさん、何かするなら、

ここじゃなく、ベッドでやってくれよ」

と才籐がぽつりとつぶやいた。


九之池は、一瞬にして、身体が強張り、

全身に悪寒を感じ、その次の瞬間、

びっしょりと脂汗をかいてしまった。


「いやいや、才籐くん、何をいっているのですか?

まつたく、こまつたことです。

記憶にござつません」

としどろもどろな口調で左手を

ポケットが出して、大げさに両手を

振りあげて、反論した。


「まあどうでもいいけど。

2~3日後には、司祭、ここを離れる訳?」

と才籐がぶっきらぼうに尋ねた。


どうも話に稲生という男が絡むと、

才籐が不機嫌になり、その雰囲気が

苦手な九之池は困っていた。

ふと、九之池は、メープル司祭の方を

観察すると、左程、才籐の雰囲気を

気にしているようでもなく、

稲生に会えるために舞い上がった雰囲気を

醸し出していた。


「ふううつ、きつい、キツイ、

この雰囲気がきつすぎる」

と九之池がルージェナに愚痴をこぼすと、


「そうですね、片や幸せいっぱいモード、

片や不幸の塊のような雰囲気ですしね。

まあ、でも人が死ぬようなこともなさそうですし、

もう少しの我慢ですよ」

とルージェナが苦笑した。


エドゥアールとヘーグマンは、先ほどから、

メープルが舞い上がってしまっているために

打ち合わせできぬと感じたのか、

二人で明日の話し合いの件を

打ち合わせしていた。


九之池は、自分の宿泊部屋に戻り、

置いてある水時計に目をやると、

もう、11刻をさしていた。


九之池は、眠気を感じながら、

前の世界では22時頃かなと思った。

明日からの2~3日の間について考えていたが、

いつの間に寝てしまった。


だらだらーダラダラーだらける九之池さん

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