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59.就寝時間１

眠いのだ

　九之池たちは、重苦しい雰囲気の中、

集落に戻った。

集落に到着し、遅い夕食を取りながら、

今日の出来事について話した。

「あれはあの処置で正解だったんだよ、おっさん。

燃やして埋めてしまうのが一番、利口なやり方だよ。

そうすりゃあ、魔術の痕跡を追えないから、

調べることも真似ることもできないだろうよ。

封印でもできれば、完璧だけどな」

と才籐がヘーグマンの処置を肯定した。

「封印はかえって仰々しいから、

何かあると思って掘り返す人が出そうだから、

あれでいいと思います」

とルージェナもヘーグマンの処置に賛同した。

「あれは一体、何の実験をしていたのかな？

国の中心部付近で何か実験するのが

流行りなんですかね」

と九之池が眠そうな目を擦りながら、言った。

「ふーむ、恐らくですが、人ですかな」

とヘーグマンが言った。

「そういう事か、いやしかしあり得ないな」

と才籐。

「地方よりは目立ちませんけど、

あり得ないと思いたいですね。

だとすると、あの魔犬は、、、」

とルージェナ。

「王都に戻り次第、メープル司祭とエドゥアールに

事情を話しておきましょう。

うまくキリア王朝に伝えるでしょう」

とヘーグマン、ルージェナの話を遮り、言った。

九之池は、いまいち、ピンこなかったのか、

事の成り行きを黙って聞いているだけだった。

しかし、何も発言しないのも何か変だと思い、

「人ですかっ！王都近辺なら人口も多いですし、

優秀な人材の発掘でもしていたのでしょうかね」

と適当なことを言った。

「えっ」

ヘーグマンを含む三人が同じ反応をした。

あの如何なる時も冷静沈着なヘーグマンでさえ、

九之池も反応に困り、同じように言った。

「えっ」

「違うだろうがぁ」

と我に返った才藤が言った。

「九之池さん、あれは恐らくですが、

最下層の貧民や犯罪者、奴隷、浮浪者。

とにかく消えてもあまり周囲が

騒がない人間を集めて、何かしら禁忌の研究素材に

していたのでしょうね。

あまり考えたくありませんが、あの魔犬は、

失敗した素材を餌にして増えたのでしょう」

とルージェナが疲れたように説明をした。

「九之池殿は、まだ、この世界に

召喚されて間がないですから、

以前の世界の常識にとらわれがちですのお」

とヘーグマンが纏めた。

「あれに関する対応は、王都にいるあの二人に

任せるとして、今日はもう寝るわ」

と才籐は言って、就寝についた。

「九之池さん、おやすみなさいー」

とルージェナが伝えて、就寝を取る部屋に戻った。

ヘーグマンはいつの間にやら、眠りについていた。

うとうとしていた九之池も

いつの間にか寝てしまっていた。

九之池は、この世界のあり得ない常識は、

十分にあの城からここまでに学ばせてもらったと

思っていたが、そんな想像は全く思いもしなかった。

妖精もどき、そしてあの人間もどき、

どうもろくでもないものと引き合う縁があるのか、

九之池は、今後もろくでもない出会いが

あるのかもと思い暗澹たる気分になった。

そんなことを考えて、うとうとしていた

九之池もいつの間にか寝てしまっていた。

寝れるときに寝る！これが一番！