51.到着
ついに到着ー
九之池たちは、妖精もどきに関することを纏めて、
帝都のルナリオン宛に送られた。
その後、キリア王朝ハルバーンに向かった。
九之池と才籐、エドゥアールの関係は微妙に
ギクシャクしており、最低限の礼儀と会話で旅は続いた。
「九之池さん、今更ですが、私たちが
稲生さんにお会いするのは
どういった理由なんでしょうか?」
とルージェナが九之池に尋ねた。
「さあ、実はよく知らないです。
彼の持つ異世界の技術力は評価が高く、
可能ならばベルトゥル公国でそれを
実現するためじゃないかな。
彼も何気に幾つかの画期的な開発実績が
あるようですから」
と言って、一息ついて、九之池は続けた。
「それとあの妖精もどきに関する
情報の共有でしょうねぇ。
メープル司祭によると、あの郊外の化け物は、
稲生さんを中心にして倒した
『森の獣』に似通っている部分が
あるようですから。
もどきに関することが
何か得られれば、ありがたいです」
と九之池は結んだ。
「あの妖精もどきには、九之池さんはどこまで
関わるつもりなんですか?」
「さあ、ベルトゥル公国次第でしょう。
バルザース帝国も今後、どうするか分かりませんし。
あの惨状を見て放っておくことは出来ないかなとは
思いますし、個人的には微妙になった
人間関係の原因だから、何とか復讐したいですが、
何かしらのバックアップなしには無理でしょうねぇ」
と九之池は嘆息した。
「そうですか、そうですよね」
とルージェナは納得するように呟いた。
「日々の生活が保障されずに何かを
進めるのはかなり厳しいでしょう。
目的を果たす前に餓死しちゃいます。
ベルトゥルに戻って、何も支給されないなら、
しばらくは魔物や魔獣の素材を集めて、
売買するかなあ」
と言い、九之池はゲームの世界の勇者は
そんなことを考えずに冒険が
できることに羨望を感じずにはいられなかった。
「じゃあ、私もそれにお付き合いする感じですね」
とにこやかにルージェナは答えた。
バルザース帝国とキリア王朝の国境線を超えて、
キリア王朝の領土に進み、王都キリアに
九之池たちは到着した。
街道は整備され、治安も良いのか
特にたまに出没する魔物くらいで
特に問題なく、王都に到着した。
キリア王朝は近隣の国では最も古く、
近年、老公による様々な改革と開発により
停滞していた雰囲気に活気が戻っていた。
九之池たちは一先ず、宿に入った。
「おーい、才藤さん、才籐さん、
随分と雰囲気が明るいですね。
稲生さんはここにいるんですか?」
と九之池は尋ねた。
「いや、あの透かし野郎は、ここから東に向かい、
大森林に最も近い村かその付近の都市の
ハルバーンにいるんじゃないか。
司祭が知り合いに確認に行くと思うわ」
と素っ気なく答えた。
九之池さん、上手く情報を得られるかな