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新たな思いを胸に

 マクシミリアン様と話してから、随分と気持ちが軽くなった事に気づく。

不思議だけど、さっきまでの辛さが少しだけマシだった。


 そのまま馬車で屋敷に帰り、お父様に学園での事、アーロン様との事全てを報告した。

こうして落ち着いて話が出来るのも、マクシミリアン様のお陰だと思う。


お父様は話が終わると、物凄い形相で立ち上がった。

「親友の息子だからと安心して婚約させたが、どうやら間違いだったようだ」

「お父様!落ち着いて下さい。早く相談しなかった私も悪いのです。アーロン様が愛していらっしゃる方がいるのに気付いて行動に移さなかった私にも非はあります」


私はアーロン様の所まで殴り込みに行く勢いだったお父様を、慌てて止めた。


「しかしフローラ、相手が不誠実すぎる。想い人がいるなら、何故こちらに相談せずフローラだけを悪者にするんだ?どう考えてもおかしいだろう。それに幼馴染だからと庇う必要はないんだよ」

「それは……」

「今まで我慢をさせてしまい本当にすまない。婚約はすぐに解消するからフローラは安心しなさい。もう何も気に病む必要はないんだよ」

「ですが……お父様とおじ様は親友でしょう。綺麗事かもしれませんが、今回の件で亀裂が入ってほしくないのです」

「その件も心配しなくていい。例え私とあいつの仲に亀裂が入ったとしても、それはフローラの責任ではない」

お父様にそう言ってもらい、ずっと負担になっていた事が解決に向うと分かり心が軽くなった。


 話が終わり、自室に戻ると人払いをしてベッドに倒れ込む。

はしたない行動だけど、今日くらいはいいだろう。


 ずっとアーロン様から向けられる嫌悪の眼差しや、周りの蔑みの視線にも耐え続け、身も心も衰微していたのが今ならよく分かる。


 でももう自由なのだ、私もアーロン様も。

アーロン様は『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』に縛られる事なく、最愛の女性と結ばれる事が出来る。

逆に私はもう、『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』ではない。


 それでも私には、アーロン様を恨んだりする気持ちはなかった。

幼馴染としての情なのか、それはもう分からない。けれど、ただ一つ思うとすれば……


貴方の想いが実りますように——


祈る事なら許してもらえるだろうか。

例え許されなかったとしても、それでも幼馴染として願ってしまう。




解放された安堵からか急に睡魔が襲い、気付けばいつの間にか眠りについてしまっていた。

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