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生誕の儀
ララは、ガラス玉のきれいな輝きに見とれていた。
「さあ、お母さまが待っている部屋に行きましょう」
牧師様から先ほどのシスターに手を引かれ部屋を移動した。質素ながらもきれいに磨き上げられた部屋は落ち着いた雰囲気を醸し出していた。
四角いテーブルをはさみ母様とらら、目の前に先ほどの牧師様が座る。簡単なあいさつの後私の生誕の儀の終了を伝えた。
「お嬢さんは7歳にしては魔力の器が小さいですね。水晶は虹色を現しました。器が小さいので魔法の発現は難しいかもしれません。これからの成長にもよりますが・・ただ、虹色ですので教会で修行すれば、回復魔法が育つかもしれません」
「牧師様、この子は5歳まで体が弱くほとんど魔力の器自体を育てることがでませんでした。やっとこの一・二年で熱も出さなくなりました。食事をとれるようになり、歩けるようになったのです。教会での修行は無理です。霞のように儚い虹色なら、無理をする必要がないのではありませんか?」
「虹色は珍しいです。回復魔法が使える色ではありますが・・確かに 歳にしては体は小さい。器も小さい。これ以上の成長は望み薄いかもしれませんね。無理に教会に縛っても、彼女のためにならないかもしれませんね。7歳の儀を迎えられただけで良しとしましょう」
牧師様はそう言って立ち去った。奥のドアが開く。母様に手を引かれ教会の外に出た。母様はララの手をつないだまま、私の目の高さにしゃがみこむ。
「よかったわね。虹色よ。魔法が使えるわよ。まだまだ魔法の器は小さいけど器も体もこれから沢山食べて、体動かしていけば大きくなるわ。虹色だったことは人には言ってはダメよ。聞かれたら薄い水色だったと答えた方が良いわね。母さんと一緒。教会に取られなくって良かった。まさか虹色とは思わなかった」
虹色は珍しい?人さらいに会うこともある。恐ろしい色だ。母様の言葉の意味が解らなかったが、水色の事だけは心にとめた。母と手をつなぎ街を歩く。待ちに待った街歩き。かわい可愛い店をのぞいたり、私達の街にはない果物やお茶を買う。カフェでミルクとケーキを食べた。いちごがのったショートケーキに似ていた。ララは初めてのお出かけに興奮した。帰りの馬車に乗るころは夢の中だった。
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