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【完結】魔法が使えるようです  作者: ちゅらちゅら
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「お嬢さん。ポーションありがとうございます。おいくら払えば」

申し訳なさそうな御者が、声かけてきた。

「気にしないで、今回はあなたが居ないと王都に行けない私が、困るから。それに、私の作った薬だから代金はいらないの」 

「薬師様ですか」

「様はいらないわね。まだ新米だから、それより体を休めてね。これからもよろしく」


御者と小声で話した。それからは何の問題もなく街につき事情聴取となった。一人一人呼ばれた。色々質問された。

 

「君は旅の人のようだけど、三つ編みの子と連れかい」

「いいえ違います」

「ふーん、戦いの最中馬車から出たようだが」

「怪我人がいたので、ポーション飲ませていました」

「それは誰かね」

「私の乗ってる馬車の御者さんと、冒険者3人です。そのうち一人は、私の馬車の護衛騎士です」


「女の子が、勇気ありますね」

「わたし、多少の魔法攻撃ができます。身は自分で守れます」

「ほー、ところで薬の代金はどうするんだい」

「自分たちを守っての怪我ですから請求しません。自分で作ったポーションですし」

「薬師か、分かった隣の待合室で待っていてくれ」

それからも 事情聴取は続いた。


「この子です。前から怪しいと思ったんです。宿にも泊まらず馬車にばかりいるし、馬車から出てふらふらしているんです」

「???なんですか」

「あんたが盗賊の内通者でしょ!私は、恐ろしくて震えて商人さんたちと馬車にいたのに、あなた平気な顔して出ていったもの」

「それは」

「私見ました。ごろつきと話しているところ だからぜったいそうです」

三つ編みの女は声を荒げる。


「あれ・・猫連れの子。三つ編みさんの連れじゃないの。初めに会った時そんな感じのこと言ってたよなあ」

「そ・そんなこと言ってない!感じ悪い子だもの。連れであるわけないじゃん。小さいくせに恐ろしい子」


「わかった。盗賊から女が内通者であることはわかっている」

「あのー、私はその猫づれの女の子が、盗賊を倒すのを見ましたよ。最初に馬車を覗いた盗賊は、その子を見て、かわいい姉ちゃんだって言ってました」

「ともかくその子が内通者なの」

三つ編みの女が叫んだ時バタンとドアが開いた。


「姉御、自分だけ助かろうなんてひどいな。砦の宝独り占めか」

警護官に連れてこられた盗賊の一人が騒ぎ出した。

「煩いわね。私は姉御じゃない。この子だよ」

言い争いを始めたが盗賊と共に三つ編みは捕獲されていった。


 三つ編みの子は、盗賊の一味で金のありそうな商人や売れそうな女子供のいる馬車に同乗して情報を集め女を武器に小金も稼ぎながら襲撃の手引きをしていた。同乗することで、警護体制など確認して情報を流すのでなかなか捕まらなかった。一晩指定宿に泊まることになった。商人の年長者が、食事が終わったころ合いをみてララに声かけてきた。


「先ほどは、ありがとうございました」

「いいえ、この(メメ)のこと何も言わないでいてくれて助かりました」

「いいえ、あなたが悪い人でないことは分かります。だてに商人はしていません。人を見る目は養っています。その猫は?」

「この子は、私に憑いたケットシーなんです」

「ありがと」とメメが小声でしゃべった。


「えっ」

「ケットシーは、喋るんです。基本無口です。この子はよく話すし魔法も使えるのです」

「なるほど、だからあなたは、一人旅に出れるのですね。良いものを見せていただきました」

「ララに危害加えれば呪うがそうでなければちっさな幸運が貰えるぞ」

「ありがとうございます。確かに命拾いしました。私は王都のアダム商会の支店で働いています。ローターと申します」

「もしかしてもしかして、アイザックが本店の?」

「ご存じですか。何かありましたら是非お寄りください」


 世の中は広い。縁は繋がっているんだなと思った。翌朝捜査が終わり私たちは馬車を乗り換え王都に向かった。3年ぶりの王都。勉強で終わった王都は、観光すらしていなかった。お世話になった御者さんにお礼を言って馬車を降りた。メメは、人を上手によけて私の前を歩いていく。


「メメどこ行くの?まず宿探さないと」

「ついてこい!俺が、知ってるやつが居るとこに行く」

「メメ、王都に知り合いなんているんだ」

「俺は長生きなんだ。ララより物知りだろ」


そう言いながらもすたすた歩いていく。どこだか分からないけど メメだけを見て追いかけていく。

しばらくすると大きな木を背にした宿にたどり着いた。

 

「いらっしゃいませ。あら久しぶりね、ネコ」

「ネコって呼ぶな。今はメメ様だ」

「偉そうに、あらかわいい子ね。お客様かしら」

「こんにちは。宿をお願いしたいのですが」

「ネコの知り合いなら構わないわ。お部屋は一人部屋かしら」

背負いカバンからゼリーが手を出した。 


「あらら、スライムも一緒なのね。じゃ大きいベッドがある部屋がいいわね。2階の1番にしましょう。ゆっくりして」

「あの 宿代は?」

「あら ネコちゃんが払うでしょ。気にしないのよ」

「ケットシー使いが荒いぞ」

「フフフ、久しぶりだものいいじゃないの」


 部屋に案内してくれた。南向きの明るい部屋だった。確かにベッドが大きい。みんなで寝れそうだ。ゼリーは、ポケットから出てベッドにびろーーんと広がった。気持ちよさそうだ。ポケットの中は狭いから仕方ないか。メメは、文句言いながらも宿の女将と階下に降りて行った。


 この宿は、人ではない者が商っている。妖精のほとんどが、森が好きだ。森から出ることがない。

だが中には契約した人について街に住む者もいる。数は少ないが。人の寿命は短い。契約者が死ねば 森に戻ることが多い。


 この妖精は、女将となって契約者が残した宿をそのまま引き継いだ。この妖精は、大樹の子供妖精だったが大きくなって親元を離れる500歳の時に、人間の男と契約して街についてきたのだ。契約者は、植物の研究が仕事だった。退職後、妖精のために木を植えそこで宿を始めた。妖精は、年取った契約者を助けるために人型になった。そして宿の女将になってしまった。

 

 植えてくれた木は大きくなった。契約者が亡くなった後、この木を守るのが女将の仕事になった。

王都には森がない。珍しい大樹に妖精や精霊が集まってくる。いつの間にか王都の森の代わりになってしまったのだ。たまに妖精と契約した人も泊まりに来る。階下でご飯屋もやっている。


 女将は、昔々のメメの知り合いだった。時の流れが人と違うので、100年なんてつい最近のことらしい。積もる話もあるだろう。メメはほっといて、久しぶりのお風呂に入って旅の汚れをゼリーと流した。ゼリーは、ぷかぷかっと浮くのが楽しいのかなかなか出てくれない。もう少しで茹で上がるとこだった。階下から「ご飯よ」と声かけられて降りていく。美味しそうな和食?が並んでいる。

 

「和食!?どうして?」

「あら、和食知ってるとはあなた落ち人ね。この宿作った人が、落ち人でね。生まれ故郷の食事がしたいと研究して作ったの。良かったわ」

「落ち人は、珍しいと言われているけど」

「そうね、いても口にしない。知らない世界で生きていくのは、大変らしいわ。中には、なじめず早くに亡くなる人もいるそうよ」


 私は、母に出会えてよかったと思った。久々の味噌汁と焼き魚 豆腐に醤油 そして白いご飯、焼肉もあった。もう自分のいた世界の記憶が薄れてきているが食べ物は忘れないんだなと思った。


「女将さん 王都の大神殿に行きたいんだけど… 簡単に大神官に会えませんよね」

「会えないわね」途方に暮れてしまった。

誤字脱字報告ありがとうございます

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