50 ブラウフォレスト(青の森)の回復
メメは青の森にポポを連れて、転移した。泉の女神に声をかけた
「妖精を助けてくれ」
「その子は私が必ず助ける」
泉から女神の声がする。わさわさと森が騒ぎだす。
「悪いやついない?」
「黒いやついない?」
「怖くない?」
あちこちから声がかかる。
「大丈夫だ。愛し子がいるから」
「アルメーラ様来てくれた?」
「愛し子?」
「精霊出てこい」
「精霊大丈夫?」
「聖獣は?」
ざわざわ森が騒ぐ。
「安心して森に戻ってこい。聖獣が戻ってくる」
そう言うとメメは地下牢に戻った。
倒れているポポにアルマンは、駆け寄った。アルマンはポポに魔力を流す。力なく目を開いたが起き上がれない。コロは倒れたままだ。
「人が来る。急げ!アルマンとポポは一緒に森に転移しろ。コロは俺が連れていく。俺たちは、ここに居てはいけない。ララは、魔力切れだ。大丈夫だ。転移するぞ」
メメはコロを抱え、ポポを抱きしめたアルマンが残り少ない魔力で青の泉の縁に転移した。ララは、大丈夫だゼリーがいる。アルメーラ様が、ララをお守りくださる。
ポポは、青の森の様子がおかしいと連絡を受け転移した。森には精霊も妖精もいなかった。泉の女神は、『妖精狩りが来て捕まった。怖くて皆隠れていいる。こんなのが続いたらこの森から皆が去っていく 森が死んでしまう』泣いていた。今は何も分からないから女神は、泉に隠れていてとお願いした。
そこにどかどかと人がやってきた。魔封籠の中に妖精が捕らわれていた。子供のカーバンクルも捕まっていた。ポポは大型になって人に攻撃を仕掛けたが闇魔法士二人に攻撃を受けた。大転移したばかりで力が残っていない。カーバンクルを助けて!念話を送る。ララへの伝言を頼んだ。無理やりフォレストルミノに転移させた。その後気が付いたら牢屋にとらわれていた。コロが付いて来ているのは後で知った。牢の中で少しずつ魔力と体力を失っていった。
ポポは風をほほに感じた。けだるくやっと目を開ける。周りにメメとコロとカーバンクルが倒れていた。
「メメ起きろ コロ起きろ」
「ポポ気が付いたか」
「ララは?」
「ララは、ポポとコロを心配して探しに来たら事件に巻き込まれた。ララはいまは、魔力切れだ。お前たちを助けるために魔力を使い切った。そばにゼリーが居るから大丈夫だ」
「申し訳ない。俺の落ち度だ」
「仕方ないよ。人の起こした事は人が解決しないと。ララにはアルメーラ様が付いてる心配いらない。今は、青の森の再生に力を注いでララを待とう」
ポポは自分が不甲斐ないことに気落ちするが、メメやコロに励まされ、森の再生に力を注いだ。隠れていた精霊や妖精が、泉の女神が、森の再生を手助けしてくれた。
ララは、白いカーテンの隙間から入る光で目が覚めた。「お腹すいたな」と声が出た。見知らぬ天井に、見知らぬ部屋、白いカーテンに、白い部屋、ここは、何処?
「気が付きましたか?ここは、診療所です。意識を失って倒れてから10日たっています。よかったです。なかなか回復しないので、心配していました。魔力枯渇の状態でした。ポーションが飲めなかったので、回復に時間がかかってしまいました」
付き添っていた女性が、声を掛けてくれた。ボーとした頭で10日も寝ていたことに驚いた。
「何か食べれそうですか? スープから始めましょうね 先生にも診てもらいましょう」
付き添いの女性は部屋をでていった。ゼリーがララの布団からでてきた。ゼリーの触手が頬を撫でた。
「ゼリーずっと側にいてくれたのね。ありがとう。メメ達無事に転移できたかな?」
ゼリーの触手が丸く形を作った。
「大丈夫なんだね。良かった。みんなに会いに森に行こうね」
「死んでもおかしくないほどの状態だったんだが、よくもちなおした。ゆっくり体力魔力を補充していこう」
診察に来た治療士は、そう言って初級魔力ポーションを手渡された。それからはもりもりご飯を食べポーションを飲んで、体力、気力、魔力をララは回復させていった。
「あなたが、私を助けてくれた?」
まだ真っ白な顔色の女性から声を掛けられた。
「少し元気になったんだね。助けたのは、内緒にしてね。顔のいい男には要注意だね」
「そうね、気をつけないと」
彼女の手を握り回復魔法をかけた。彼女の体は、淡いシャンパンゴールドの光で包まれた。 顔に赤みが差してきた。
「少しは、体が楽になった?」
「ありがとう」
「あなたは血を取られただけ、早く元気になって」
「あなたは聖女?」
「違うよ。ちょこっと回復が使える薬師なの。私も攫われて逃げてるうちに気を失っただけ。すぐに助け出されたからあなたよりつらい思いしてない」
「私が、バカだったの」
「もう、済んだこと。これ血を増やす薬、美味しくないけど効果あるよ」
「ありがとう。こんなにしてくれて、何も返せない」
「何もいらないよ。ともに悪人に攫われた仲間だから飲んで早く元気になろう」
「あなたは、大人みたいに話すのね」
そう言って小瓶の薬を飲み眠った。これで貧血が少しは回復するだろう。ララは7日ほどで驚異の回復をみせ退院した。隠れて手持ちの初級ポーションと魔力ポーションを飲んでいた。
「いやーさすが若さだね 死ぬほどの魔力枯渇を切り抜けるなんて」
治療院で褒められた?いくら魔力が回復したからと言っても、退院は早いと言われた。ポポ達が、心配でゆっくりしていられない。無理を言って、診療所を退院した。ゼリーと一緒なら大丈夫。外は青空がすがすがしく広がり、日差しは暖かだった。
街中を歩いていると 穏やかであちこちから笑い声や話し声が聞かれた。
「良かったな。人さらいが捕まってこれで安心して女子供が歩ける」
「そうそう、さすが領主様のお抱え騎士様だ。人さらいは捕まえるし、森は元気にしてくれるしありがたいことだ。このまま森がなくなるかと思ったよ」
「そうなの 森が明るくなって、薬草も取れ出したらしいわ」
「人攫いが、森にも悪さしたんだろうか」
「それはわからんけど」
「でも、良かったな」
「うん、良かったよ。この森が、死んだらこの街は終わりだったな」
「青の森は、アルメーラ様からの預かりものだ。大事にしないとだめだ」
「アルメーラ様の預かりものって?」
「知らんのか この地を作るとき アルメーラ様が、東西南北に大森林を作って森からの多くの恵みと、清らかな水、豊かな土地を与えてくれたのだ。大森林のおかげで他国からの侵略も防げる。まあ魔物が居るが、冒険者が狩って肉や希少部位を売って街を豊かにしてくれる」
「アルメーラ様の導きでフランク国は穏やかに暮らしていけるんだと爺さんが言ってた」
「若いもんは知らんよそんな話。だが森が大切なのはわかった」
そんな話が聞こえてきた。
冒険者ギルドによって、ワインダー男爵の事を聞いた。
「大変だったね」と声かけられた。
「攫われて、逃げている途中までは、覚えているんだけど、気が付いたら診療所に寝てた。
助かって、良かったです。事件は、どうなったんですか?」
「それがね 街の北側のワインダー男爵が事件を起こしたらしいの 領主の騎士様が調べて人攫いや詐欺を働いていたらしいの きっと森にも何かしたのよ。男爵はお家取り潰しで、屋敷も壊して更地になっているわ」
「屋敷まで?」
「そうなの。結構悪いことしていたらしいの。仕方ないわね」
「そうそう、森が、復活してきたの良かった。これで街も森も落ち着く」
ララはお礼を言って、森に向かった。
森から緑の風がそよいできた。花の香りもする。精霊が飛び跳ねている気配がした。ゼリーが、カバンから飛び降りてポヨ~ンと跳ねた。ゼリーの案内で、森の中に入って行った。メメが、すっとあらわれた。
「ララ お帰り」
「ポポ、コロ、元気になった?」
ポポとコロが、走ってきた。ララにつかまり泣き出した。
「「ごめんなさい」」
「怒っていないよ。ポポ達の仕事だもの仕方ないよ。でも黙って居なくなったら心配するよ」
「わかってる」
「ポポさん悪くない。アルマンが弱いから」
「それも違う。人間が悪いの。もうこの話は終わり、みんなで家に帰ろう。」
皆の元気な顔を見たらこの数日の事は、どうでもよくなってしまった。森は来た時と違って生き生きしていた。白い羽の妖精がララに近づいた。『ありがとう』とララの頬にキスした。倒れていた妖精だった。救えた命があってよかった。
「カバンに入っている2本の黒い小瓶、どうしよう?このまま捨てるわけにいかないと思うの 禍々しさが、森や街に広がりそうで、 でもカバンに仕舞っておくわけにはいかないし どうしたらいい?」
ゼリーは、自分が飲んで分解するというように口を広げる。
「ゼリー無理だよ ゼリーが魔に飲まれてララを襲うことになるぞ」
ゼリーは、ぶるぶると震え カバンのに飛び込んで隠れた。しばらく思案していたポポが、話し始めた。
「禍々しい魔なら、教会でお祓いしてもらえばよいよ。ただ街の教会程度じゃダメだね。王都の大神殿ぐらいでないと」
「行くしかないかな。アイザック領に戻るにはまだ時間あるし、乗りかかった船だもの」
「仕方ない。メメ様が、付いて行ってあげるよ」
そうと決まれば、今日はみんなでお祝いだ。森にはまだ人は入ってこない。カバンからお菓子に料理に飲み物を出して、大盤振る舞いです。なぜかメメが、お酒を出して森の長老たちと飲んでいた。メメは、甘いものもお酒も両方いけることを知った。セバスチャンやジュモーとモッジが作ってくれた物は、当然妖精にも精霊にも喜ばれ狂喜乱舞のありさまだ。青の森の泉の女神は、水鏡でフォレストルミノの女神にお礼の報告をした。バタバタしていて、鏡での連絡を忘れていたララたちは、後で、叱られることになる。
ララは、慌てて今回の妖精狩りの事件の報告と小瓶の事で王都の教会に行くことを伝えた。ポポはフォレストルミノに戻るので水鏡を持たせるとことにした。セバスチャンは宴会で使ってしまった食料や治療で消費したポーションを転送してくれた。店の方は心配ないので気を付けて王都に行くようにと言われた。「私、お店にいなくてもいいみたい」ぼやいてしまうほどにしっかりしているお店の妖精たちだった。
誤字脱字報告ありがとうございます




