44 ブラウニー領フォレストイクスト(青の森)
ポポの無断外泊 カーバンクル来訪
アイザックに越して三年たった。ララは20歳になった。この国では18歳が成人。冒険者ギルドの受付嬢は、結婚して退職していった。サマンサさんは、安定の左隅にいてくれる.。ピーターソンさんが、結婚しようと煩い。ロッジおじんは、あれは細かいから止めておけと言う。
私もそう思う。我が家は、ケットシー、聖獣、女神、妖精、スライム、コウモリと蜘蛛が居る。最近女神が友達を連れてくる。他の森の女神らしい。しばらく泊まって帰っていく。家は宿屋ではない。みんな楽しそうなので放置だ。こんな状況で結婚なんかできやしない。好きな人もいないけど・・・
それより高級ポーションが作れるようになった。薬剤ギルドから指名依頼が来るようになった。レスターク様が間に入ってくれるので安心。
ある日ポポが、帰ってこなかった。クーシーのコロも一緒に帰ってきていない。メメは、たまに遠出して帰ってこないこともある。猫は気まぐれ。だが、ポポは真面目に毎日家に帰ってきた。何かあるときは、ちゃんと伝えてくれる。3日目の夜、額にエメラルドををはめ込んだ大型のリスがやってきた。
「おまえ、ララか? ポポ困ってる。手伝いに来てくれ」
森で泉の女神が、転移してきたカーバンクルを見つけた。話を聞いて家に連れてきた。女神に知り合いではないが、リスは幻獣カーバンクルと呼ばれている。額の真っ赤な貴石はガーネットの星と言われているそうだ。フォレストルミノ(明るい森)には住んでいない。
「ポポが、ここに行けばララが助けてくれると言った。ブラウホレスト(青の森)からやってきた」
「ポポ、何処にいるの?ブラウホレスト?なぜ帰ってこないの?」
「ポポ戦っている。精霊たち守ってる。ララ助けに行く」
片言の言葉で話してくれるが話が見えない。女神の通訳によると。ブラウホレストの森で妖精狩りが行われている。ポポは、森の聖獣だから妖精を守るためにコロとフォレストルミノ(明るい森)から転移した。話を聞いているうちにわさわさと同居人が集まってきた。
「メメが付いていく安心しろ」
「必要なものはわたくしがそろえます」
セバスチャンが準備を始める。
「一番容量の大きい背負いカバンに薬・武器・食料・菓子準備します」
ベガが衣類関係をそろえてくれた。
ゼリーは背負いカバンのポケットに入り込んだ。
「留守は任せてください。お店を守って待っています」
ジュモーとモッジ。女神は一度泉に転移した。
とりあえずポポを助けに行く。妖精を狩るとは何の目的か分からない。冒険者ギルドと薬師ギルドに、長期留守にすることを手紙に書きロッジおじん手渡してもらう。急な里帰りということにした。翌朝女神が戻ってきた。
「ララ、この鏡を持っていって。ブラウホレストの泉へ転移できる水鏡なの 今回は特別。女神専用だけどララは、これが使えるから貸し出すわ。必ず戻ってくるのよ。鏡に話しかけると私と話が出来る。
ララの言っていたケイタイ?みたいなやつ。欲しがっていたでしょ。家の様子も伝えられる。私たちも聞きたい」
とんでもない物を借りてしまったが、歩いていくには遠い。ブラウホレストはフランク国の西の端の大森林まで駅馬車でも行きだけで1ヵ月かかる。母の所のノウス領よりは近いけど、遠方には変わりない。ベガ作成のスパイダーシルクの濃い青い上着とズボン茶色のブーツ 防魔・防衛・防雨・防汚・自動修復・温度調節 沢山の付与がされている。みんなが徹夜で仕上げてくれた。
カバンの中にはまだ入っているからとベガどや顔である。カバンの底には、セバスチャンからのナイフ・はさみ・魔法杖・攻撃用パチンコが取り付けてあった。カバンを背負ったまま攻撃できるようにしてくれた。
「攻撃に必要なものは、願えば手に飛んできます。カバンを失ってもララ様の所に戻るようにしてあります。カバン自体に隠遁の魔法陣をつけてありますので隠したいときは隠せます。どのような敵が、いるかわかりません。必要なものがあったら鏡でお知らせください。家の事、店の事は我々にお任せください。帰還をお待ちしています」
さすがセバスチャン頼りになります。
「ララ。そろそろ行くぞ‼」
珍しく引き締まった声のメメ。気を引き締めてメメを抱きポケットにゼリー、カーバンクル、泉の女神と森の泉に転移した。女神のもとで水鏡を泉に浸す。転移先をカーバンクルが思い浮かべる。
私とメメとカーバンクルとゼリーは、鏡を持ったまま泉の中に吸い込まれていった。気が付いたら知らない泉のそばに立っていた。
フォレストルミノは、明るい森と言われる。空も青く木々は若葉のように青々としている。国の南に位置している。冬は短いので花々がよく咲いて明るい森のはず。だが ここは鬱蒼としていた。生き物の気配がない。泉には女神が居ない。泉自体も濁っている。カーバンクルはぺたんと腰を落とした。転移・転移を繰り返しているので疲れている。
「カーバンクルさんは、名前はありますか?」
突然の問いかけに丸い目をさらに丸くして
「名前なんてない」
「それでは、私が付けますよ。これから戦いの仲間だから」
ララは、思案した。
「君の名前はアルマン。とてもきれいなザクロ石だから」
「アルマン…僕の星と同じ。嬉しい」
大きなリスのしっぽが揺れた。
「ララ腹減った。泉の周り安全だから飯食べよう。森入ったらいつ食べれるか分からない」
ララが朝緊張してあまり食べれなかったことをメメは、気が付いていた。ララは、とうに成人しているが体が小さい。食事量もけして多くはない。だから体力が無い。街暮らしでは困らないが、これからは気をつけないといけない。我慢強いが無理は効かない。メメが気をつけないと倒れてしまう。前に倒れた時は、身が縮む思いだった。
セバスチャンたちが手軽に食べれるものをたくさん用意してくれた。魔法の瓶には、飲み物が入っていてチューブのつるが差し込んである。赤い色がアルマン用、灰色がメメ、ゼリーは空色、茶色がララ専用になっている。サンドイッチには、肉が挟んである。メメはがぶりと3個食べた。アルマンは、初めてのサンドイッチに手が出なかったが、メメを見て一口食べた。そのあとは夢中で3個食べた。しっぽが激しく揺れていた。
ララの魔法瓶には紅茶が入っていた。サンドイッチを2個食べる。ゼリーは飛び出してポヨン・ポヨンと跳ねてから、サンドイッチを飲み込んでいた。腹ごしらえしたのち、アルマンの案内で森を歩き始めてた。
森は静かだった。鳥のさえずり、木々の声、小川の水音もしない。まるで地下にいるような静けさと暗さだった。
アルマンからの話では、森が騒がしくなった頃から、妖精が姿を消した。精霊が異常を感じて隠れてた。風の精霊が隠れて、風がなくなり、空気が淀んだ。光の精霊が、隠れて、光がなくなった。土の精霊が隠れて土が固くなり植物が育たない。火の精霊が、隠れて森が冷たくなった。闇の精霊が、隠れて森の癒しは消えた。精霊と妖精と泉の女神が居なくなって森が死にかけていると話した。
自然界に必要なすべての精霊が隠れてしまっては、この大森林を維持できない。ララが森を歩いている時も冒険者と騎士のパーティーが、ずかずかと森の奥に入っていった。森では情報が得られなかったので、街に向かうことにした。
「こんにちは、珍しいね。この時期森に入ってる人は、我々しかいないと思っていたが」
身なりの整った騎士らしい人が、声を掛けてきた。
「こんにちは、よそから来ました。森に入ったのは初めてです。ここの森静かですね」
「そうなんだ。普段はもっと鳥や動物が、いるんだけどね。今調査中。なんか気が付いたことあったら。冒険者ギルドに報告してください。暗くなると魔物が、増えるから早めに森を出てください。気を付けて」
そば付きの人が「もう少し奥に向かいましょう」と声を掛けた。数人の騎士と冒険者が控えていた。偉い人かもしれない。
人のすることは、人の口にのぼる。森より街に出て情報を集めよう。まずは冒険者ギルドに行って、森の情報を集めることにした。カバンの中にはセバスが、色々入れてくれてあるので、それを売ってきっかけを作る。森の出口に近い街は、ブブラウン領の西に位置している。フォレストイクスという。
森の恵みで暮らしている。ララの住んでいる街と変わらない。出入り門をギルドカードで通過。メメは、テイマー登録しているがアルマンはしていない。貴石が狙われることもあるので、登録することにした。
「珍しいな。猫づれの女の子の一人旅かい。森に行くのは、今はよしておきな。最近森がおかしいんだ。今領主が調べてる。結果が出るまでやめておく方がいい。暗くなると魔物が、増えるから危ないんだ。森が無くなったらこの街おしまいだな…あっ余計なこと言った」
門番はもう一人の門番に小突かれた。
「余計なこと言うな。怒られるぞ。そいつの登録は冒険者ギルドだ。この道まっすぐ行くと大きな建物がある。一番大きいからすぐわかる。そのちっこいカーバンクル早く登録しろ」
声かけてくれた。森がおかしいのは人も分かっているようだ。門を通過してララたちは冒険者ギルドに向かった。
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