4 魔法が使えるようです
母の指先から風が動く。見てないふりなんてできない。母は私の視線に気づかず、開店の準備を始めた。声をかければよかった。「魔法ですか」と。言えなかった。だって、魔法がある。一日中ドキドキしていた。
わたしは夜、寝台の上で指をくるくる回してみた。何も起こらない。小声でささやきながら、指を動かしても何も起こらない。くるくる指が疲れるくらい動かした。小さい声で、「
風よ吹け」とささやいた。それでも何も起きない。わたしはいつのまにか寝てしまった。
ララは夢の中でも指をもくるくる動かす。「ガタ」小テーブルの上のウサギのぬいぐるみが落ちた。誰も触っていないのに。夢の世界の出来事。それなのに朝起きたら、大好きなうさちゃんが落ちていた。
「夜のお散歩出かけたの?」
うさぎは何も答えない。ララの代わりにお布団の中にうさぎを寝かせる。着替えて台所に向かう。朝食の準備をしているはずの母がいない。お店のほうから声がする。
「風邪かな? このお薬飲んで様子見て。熱や咳がひどくなる様なら、声かけてくださいね」
誰かと話す声が聞こえた。えっ!お母さんお薬も作っていたんだ。わたしが寝込んでいるとき、お医者を見たことない。ここにも医者さんはいるのかな?お母さんは薬屋?ララはまだまだ知らないことばかり。
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