38 薬師ギルド会長からの依頼
薬師ギルドの受付に案内された応接間は、重厚な雰囲気に包まれていた。壁や椅子・テーブルはダークブラウンを基調に落ちついた色調統一されていた。その中で輝きを抑えた金色の魔石ランプは美しい 色ガラスを組み合わせたものだった。窓から柔らかな光が差し込む。そこに白い髭の老人レスターク様がいた。
「呼び立ててすまない。元気にしていたかい?お店の方も順調のようだね」
「お久しぶりです。元気でやっています。今日はどのようなご用件でしょうか」
「聞くだけでいいから聞いてくれると助かる。私のひ孫で7歳の女の子ベルが魔力漏れで助からないと言われている。魔力ポージョンを飲ませている。7歳ゆえ体力が追い付かない。漏れ自体の治療ができない。魔力ポーションを飲ませても少しづつ魔力が減っていく。最近はポーションが飲めなくなってきた。
そなたのことを少し調べた。すまん。最初はマーガレット様の弟子に興味があっただけだ。そなたも魔力漏れで生死を彷徨っていたことを知った。ひ孫の命を諦めていたところに、もしかしたら助かる方法があるのではと思ってしまった。欲が出たんだ。君の回復の薬なり治療法を教えてもらえないだろうか?失礼だがそれ相当のお礼はできる」
静かに深々と老人は頭を下げた。
私はララと入れ替わった?まじりあった?時に、魔力漏れは治った。ララは魔力の器にひびがはいっての魔力漏れ。魔力漏れはいろいろの原因がある。会長のひ孫なら名医に何人も診てもらっているはずだ。それでも治癒できない。あの時薬飲んだかな?熱ばかり出してうとうとしていたから覚えていない。ララが夢の中で元気に走って行ったぐらいしか覚えていない。
「私は赤ちゃんの頃、魔力の器にひびが入って魔力漏れを起こしていたそうです。ベルさんは?」
「ベルは魔力暴走に巻き込まれてしまった。もともと魔力の高い家系でな。ベルも魔力が多い。最初は気が付かなかったのだ。食欲がなくなり、微熱が出るようになった。病かと医者に見せたり薬を処方したりした。それでも良くならず困惑しているときに、錬金薬を飲ませた。
飲んだ後に回復の兆候が見られほっとしてるとまたぶり返す。魔力が少なくなっているのかと思い調べた。少しずつ魔力が漏れていた。魔力の器が育ったベルには、魔力枯渇の状態になっていた。魔力ポーションを飲ませても一時的な効果しかない。魔力枯渇状態が日に日に悪化してきている」
「実はあなたの母上にも問い合わせた。5歳の高熱あとから少しづつ回復したが、きっかけは何なのかわからないと言っていた」
そうだよ。入れ替わった?なんて言えないもの。
「一度ベルさんに合わせてもらえますか?何か気が付くことあるかもしれません。師匠の指導書も調べてみます」
重苦しいこの中で分かりませんとはと簡単に言えない。
翌日 レスターク様の豪華な馬車が店の前に迎えに来た。水色のワンピースに魔法カバンのポシェットを肩にかけ馬車に乗り込んだ。2階から妖精たちがのぞいている。留守番を頼んできた。
メメは遊びに行くのかと、一緒に行こうといそいそ準備していた。事情を話したが諦めていない。ポポに見張りを頼んだ。
豪華な馬車は揺れが少なく快適であったが、緊張でそれ処でなかった。2時間ほど馬車に乗り、大きなお屋敷に到着した。門の前に護衛騎士が立っていた。初めての経験だ。レスターク様の顔を見て門を開く。それからしばら経って静かに馬車が止まった。外側から馬車の戸が開いた。
「お待ちしておりました。レスターク様。お初にお目にかかりますララ様。執事のセバスといいます。 お手をどうぞ」
お手をどうぞと言われても・・・・困っていたらレスターク様が手招きしてくれた。
「話した通り。今日はベルと顔合わせだけだ。騒ぎにするな。このまま部屋に行く」
「レスターク様。ご主人様が挨拶したいと申していました」
「だから。ララが困るだろう。あとでわしが話する。引っ込んでいろと言っておけ」
「ララ行くぞ」高齢とは思えぬ力で手を引かれ階段を上っていく。ぺこりとセバスさんに向かって頭を下げるのが精一杯だった。4階の南向きの部屋の前。
「ベル、じいだ。前話したララを連れてきた。開けるよ」
掛け声と同時にドアを開けて中に入っていった。大きな窓にピンクのカーテン、フリルの付いた白いベッドカバーに枕元には動物のぬいぐるみが並んでいた。それ以外は何もない。
熱でボーっとしてる様子は自分の時と同じだ。老人は部屋から介護人とメイドを下げるよう指示を出した。セバスだけが残った。
「ララ、こんな感じでボーとしている。魔力ポーションを飲ませるのも困難になってきた。そばに寄って診てくれるか?声だけでも掛けてみてくれ」
言われるままベッドに近づく。ひざを折って顔の位置を合わせる。
「初めまして。ララと言います。ベルさん声が聞こえますか」
少し顔を動かす。
「体触ってもよいですか」
レスターク様は頷いた。
自分の体に清浄の魔法をかけ、ベルの布団をまくり細くなった手を握る。静かに細く魔力を流す。10分後ベルは目を開けララを見つめた。相性が良くなければ魔力を流すと不快感が強く出る。中には拒絶反応が出る。ララは学生の頃誰にでも魔力を流すことができた。珍しいことだ。流す魔力が少ないせいだと皆は、思っている。力ない声がした。
「だあれ?」
「前話したじいの友達のララちゃんだ」
「こんにちは。ララです。今気分悪くない?」
「大丈夫。虹の橋渡ろうか悩んでいたの。向こうのお花畑がきれいだった」
レスターク様とセバス様の息をのむ音が聞こえた。
「私も5歳の時、虹の橋渡ろうとしたことあった。綺麗なのよね。お花畑行ってみたいと思ったけど お腹空いて目が覚めたの。蜂蜜の入ったクッキー食べてみる?」
セバス様の方を見た。頷いたのでクッキーを割って口に入れた。
「美味しい」
「もう少し食べれるなら、体少し起こして水分も取りましょう。これね、蜂蜜水を凍らしたの。お口に入れると冷たくておいしいかも」
「あっ、お口の中で溶ける。冷たくておいしい」
ベルは冷たい氷に嬉しそうだった。熱があるせいだ。
「今は少しだけね。口当たり良いけどお腹冷やすから」
2枚のクッキーと水分を取らせた。ほとんど食事をしていないので固形物は多くは食べさせられない
「そろそろ休もうかな?寝たらもう一度魔力流すね。変わったことあったら言ってね」
ベルを寝かせ両手を持ち探るように魔力を流す。手から体に足に頭に血管造影の造影剤のようにワンショットではなくゆっくり流す。血管のように道筋があるのに右足の付け根で途絶えてそこから魔力が漏れていた。ここから漏れている。極わずかだから分かりづらい。漏れた魔力が体をめぐりゆっくり消えていたので症状が出るのに時間がかかった。どうしようかと思案していた。
誤字脱字報告ありがとうございます。
エピソード内を修正しました。内容に変更はありません。




