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夜師匠の古い茶色の皮の魔法トランクを取り出した。片手で持てる書類カバン。魔力を込める。『カチ』という音ともに開いた。一番上にカードが入っていた。その下に手紙があった。
ララ 薬師1級合格おめでとう。
ララ、これは師匠から弟子に送るレシピ集です。ソフィーにも同じものを送ってあります。私にとって本当の意味での弟子は二人だけ。 この手紙が読めるなら、レシピ帳は読めます。この文字はソフィーが教えてくれたの。この国の人には読めないから安心して。
私は長く薬師もしたけど、戦争の時は爆弾や毒薬も作らなければならなかった。いやでいやで仕方なかったが、養父母を人質に取られて仕方なかった。それらのレシピも残してある。私の記録だから受け取って下さい レシピ帳はあなたが亡くなるとき消滅する。他の人には残したくない。
だからと言ってあまり身構えないで。嫌なレシピばかりでない。ソフィーが教えてくれたお菓子やなんかもある。
ロバートと結婚してからも、色々な物を作った。魔力余っていたからね。役に立つものもあると思う。あと貴重な素材を瓶詰してある。一覧はレシピ帳の裏に挟んである。
あなたは特別な子なの。みんなと違うこと分かってるわね。森守がついていること、特別な知識があること、魔力圧縮が出来る事。魔力の器が壊れていなければ私ぐらいになったと思う。
ソフィーは10歳から私が育てたの。それまでの記憶がなく親もわからなかった。突然降って来たような子だった。怖がりで慎重な子だった ソフィーは魔法も使いたくなかったみたい。あなたとは反対だわね。赤い袋に入ってるのはソフィーがうちに来たとき持っていたもの。魔法がある事さえ知らないのに、収納の魔法が使えてたの。本人は全然気が付かず、ずいぶん経って見つけた。
ただ記憶がないから何だか分からないのでそのまま預かっていた。あなたなら使い方がわかるかもしれないとトランクに入れておいた。もし大事なものならソフィーに教えてあげて。ただ覚えてない記憶を掘り起こすことが幸せとは限らないから、ララに任せるわ。
ソフィーもララも幸せになりなさい。 マーガレットお祖母ちゃんより
これ知ってる。スマホだ。材質が違う。石板のように固い四角い板のように見える。魔力を少し流して充電?右横に出っ張りがある。ここを長押しする。パスワードは・・・・ソフィー・ララ 。マーガレット・リエ。
「あっ開いた!?」
そこに赤ちゃんを抱いているソフィー母さんが居た。髪の色は黒だが確かにソフィー母さんだった。髪と目は黒く、肌の色今ほど白くない。Tシャツにジーパンを着ている。
「赤ちゃんは私だ」
私は1歳で母を亡くしている。写真で母を知っていた。この世界で再び出会えた。そして本当に愛してくれた。これは奇跡?神御業?他にも時計にギルドカード? 巾着と小金 ハンカチ、手帳?この世界にないものは代用の物に代わっていた。もう一度スマホを起動しようとしたら煌いて動かなくなった。
一度写真を見れただけで充分だ。巾着に残った物を入れて母に渡そう。ギルドカードみたいのは銀行のカードかも。
マーガレット様のレシピ帳は日本語で書かれていた。今までも薬に関して日本語だった。当たり前のように読んでいたので改めてこの国の文字でないと確認した 母は言葉には苦労しなかったと言っていた 書き取りだけこの国の文字を覚えたんだろう 母も私ももしかして師匠も、落人なのかもしれない。落人について調べてみよう。
カバンの中に沢山の瓶が入っていた。瓶の中身が日本語でラベリングされていた。ドラゴンの鱗・ドラゴン牙・ドラゴン皮・・・仕舞っておこう。いつかこれらを使える技術を身に着ける。レシピ帳は私のものと一緒に寝室の魔法鍵の掛かる引き出しにしまった。
[コト! ]と音がした。夜の散歩に出ていたポポが転移してきたのだろうと思っていたら
「ミャー」
と泣く声。何かをポポがくわえていた。
「ねこ? 怪我してる?」
ポポはララの前に灰色の毛の猫を見せてくれた。猫の前脚と後ろ脚の片方に大きな傷がある。ポポは自分の毛布をくわえてきた。
「ちょっとまってて。猫ちゃん体触るわよ。他に傷や病気ないか見るね」
なされるままだ。抵抗する力はない。
「ポポ。どこから連れてきた?街?森? 森なんだ。飼い主はいないわね。しばらく家で治療しようか」
体にクリーン掛ける。回復魔法はどうしよう?魔物なら掛けないほうが良いかも。罠かなんかの傷は深いが出血は少ない。錬金傷薬と痛み止めをミックスして傷に塗り包帯巻いた。毛布で体を包み横向きのままスポイトで回復薬を少しずつ飲ませる。呼吸が楽になったので途中でやめる。そのまま寝かすことにした。しっかり目が覚めたら回復薬をもう一度を飲ませよう。ミルクも必要ね。ポポはおおきな体で猫を包むように横たわった。
「ポポ。今夜は一緒にここで寝ようか?朝には元気になってるといいね」
遅い時間なのでホットミルクを飲んで、私もリビングでポポ達と寝た。
私の毛布の中にポポがいた。顔のあたりに柔らかなぬいぐるみが引っ付いている。ボーとしてぬいぐるみを撫でていたら包帯が目に入った。あっ昨夜の猫!慌てて起きたら灰色の毛の中からくりくりした金色の目が私を見た。
「おはよう。脚痛くない? お腹空いてる? ミルク飲む?」
「おはよう。お腹すいた。足少し痛い」
返事が返ってきた。ミルク温めて… えっ今喋った。
「あなた喋った?」
「ボク。ケットシー。妖精ネコ。お話しできる。ミルクほしい」
「ポポ ケットシーって妖精?」
『猫のような妖精。可愛いから人欲しがる。怪我した』
頭に声が響いた。
「えっ!ポポもしゃべれる。いつから」
『これ念話。やっと使える。言葉難しい。頑張る』
罠にかかったケットシーをポポが助けたらしい。ミルクをペロペロ舐めている姿は猫にしか見えない。昨夜は師匠のトランクのことからスマホの写真、今朝は、しゃべる猫と念話の犬?オオカミ?驚きすぎだ。
ミルクを飲んだあとでケットシーの傷を見るとほとんど治っていた。
「傷良くなったね。もう少しだから回復薬残りを飲もうか」
「回復薬おいしくない」
割と美味しくできているのに。猫は金色の目を伏せる。
「お薬飲んだら蜂蜜入りのケーキあげるよ」
「ワンワン」『 ポポ 食べる 』
「お薬飲む。蜂蜜大好き」
ポポと猫は飛び跳ねる。ケットシーの脚は大丈夫のようだ。
ケットシーは順調に良くなった。歩くよりもふわーっと浮いて私の後をついてくる。もう森に帰って大丈夫と言ったらうなだれて動かない。
『帰りたくない。ご飯美味しい』
ポポが代弁した。
「森に仲間がいるんじゃないの」
「大丈夫時々ポポと森に行く」
ケットシーはメメと名付け、同居人となった。
メメもポポも食事はマナで、普段の食事は嗜好品らしい。それなのに私の食べるもの何でも欲しがる。森に行った帰りに、二匹でリンゴを取ってきてくれた。リンゴタルトに蜂蜜かけたら大喜びした。
「ララ、小さい魔法袋欲しい。リンゴ沢山採れる」
魔法の採取袋をうち袋にして肩掛けカバン作ってあげた。大喜びでポポと森に出かける。果物ばかり採ってくるので、たまには薬草もと言ったらナイフと小シャベル欲しいという。薬品保管庫で見たのか調剤に必要な薬草を収穫してきてくれた。私では入り込めない所までポポと出かけているようだ。薬草の色もマナも最高品。ギルドに薬の納品時、ポポは子犬でメメは子猫のふりしてついてくる。ロッジおじんは気が付いた。
「ララもう憑かれたのか?欲しがるやつがいるから気をつけろ。まあ呪われるがおちだな」
さすがおじん。ケットシーを見たことあるみたい。憑かれる? 呪われる?本人においおい聞いていこう
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