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8の鐘に合わせ東門に行く。ロッジおじんと品の良いおばあさんが立っていた。
「おはようございます。今日もお世話になります」
「おお。気にするな指名依頼だ。これ、うちのばあさん。ララに会いたいって」
「失礼な言い方。おはようございます。夫と森に入ってくれてありがとう。体壊してからは一人で森に出すの心配してたけど。ララちゃんと出掛けてからすっかり元気になったの。昔の道具磨いたりして。 とても感謝してるの。蜂蜜美味しかったわ。ハンドクリームも見て。私の手娘みたいでしょ」
「いい加減にしろ。もう出かけるぞ」
「リンゴ持たせてあるから途中で食べて。二人とも気を付けて」
手を振って見送ってくれた。ロッジおじん少し照れてる。
「ハンドクリームなんて買ってやったことなかったから。すごく喜んで少しずつ使っているんだ」
庶民は化粧品なんて使わない。手荒れ切り傷ならユキシタソウを揉んで水に溶いて手に付ける。手荒れ、擦り傷、軽い切り傷などに薬を使わない。民間療法でだめなら治療院へ行く。治療院から処方されて薬屋に薬を買いに行く。もっと手軽に手当てをしたら、悪化しないのに。森を歩きながら薬草を採取をする。ロッジおじいの声。身構えて魔力を練ったところに白い大きなオオカミが現れた。
「動くな!魔物がいる
おじんの背中に回れ」
腰から剣を引き抜く。白いオオカミはシッポを振って
「クーーーーン」甘え声を出している。
「ロッジおじん。もしかしたら知り合いかも?ポポのお父さん?」
「クン」
白いオオカミはうなだれた。
「もしかしてポポ?」
「ワン」
白いオオカミは、シッポ振って飛びかかってきた。おじんはそのままポポに踏み倒された。ポポは私の頬をぺろぺろと舐めた。
「あちゃ~ポポ手をどけて。下にいるのは私の知り合い。ロッジおじんだよ」
「ワン」
前足をどけてあおむけに倒れたロッジおじんにシッポ振っている。悪気はない。
「おじん大丈夫?起き上がれる?ここで一休みしようか」
ロッジおじんは驚きすぎて立ち上がれずそのまま腰を落としてしまった。驚くよね。2mあるオオカミだもの。ポポかわいい子犬だったのにここまで変わるのか。
「ロッジおじん。この子私のお守り犬だったの。わたし、森で森守りに拾われたの。今回の引っ越しは知らない土地だから、しばらく森に帰っていたの。どうしたのこんなに大きくなって。オオカミになってるし。驚くよ」
ポポに話しかけてもララの体に臭い付けに夢中で話にならない。ここで一休みだ。
「アッ、これおにぎりっていうの中に焼肉が入っている。駄目だったらパンもある。ポポ!待ちなさい。あなたのもあるから」
前足をそろえて伏せしている。待っているのだろう。
やっと落ち着いたおじん
「知り合いか?襲ってこないようだな。おにぎりか?初めてだが食べてみるよ。おい!白いオオカミこっちを見るなよ。ドキドキするぞ」
ポポはおにぎりが大好き。ロッジおじんのおにぎりを見つめている。木の皿に私の分のおにぎり2個出した。今度は私の顔を見てる。どうぞと言えば二口で食べ終えた。子犬の頃はもっとかかったのに。
「ララ、この子魔物か?紅目でないから違うか?お前このままララについてくるのか?」
「ワン」
「無理だろう。この大きさ。大騒ぎになる」
「わんわん」
尻尾を振りながら白い子犬になった。
「・・・・・これなら子供のオオカミと言って契約したことにすれば街に入れるか・・・」
「ほんと!良かった」
転移できるけど隠れて暮らすの可愛そうだし難しい。
「ポポ、魔物みたいに契約したことにしてもいい?一緒に暮らせるよ」
子犬になったポポは飛び跳ねてララに飛びついた。
その後、薬草とシャボンの実とシャボン草。魔草・アマドコ・オトギ・サシミクの根と茎を採取した。最後に蜂の巣を採取。ポポが大きな蜂の巣を見つけてくれた。今年は大雨が少ないのか、木下の方に巣を作っている。たっぷり蜂蜜が取れる。ポポは蜂蜜入りのお菓子が大好きなのだ。
東門でロッジおじんの報告で、ポポも門を通ることが出来た。そのままテイマー登録をギルドで済ませた。ポポを白い子供のオオカミとして登録した。見た目子犬なので街中でも問題ない。ロッジおじんは最後まで心配していた。
「ここ私の家です」
「えっ、ここ菓子屋だろう」
「昨年お店閉めたそうです。紹介してもらってこの春の月の初めに引っ越してきました」
「そうか。菓子に縁がないからな。知らなかった。俺は三軒隣奥に住んでる。ばあさんと二人暮らしだ。何かあったら声かけな。ポポちゃんララちゃん頼んだよ」
ロッジおじんは安心して帰っていった。
家に入ったら、ポポは元の姿の2mのオオカミになった。家の中を点検するように歩き回る。
「ポポ、昼間はリビングにカーペット敷くからそこで休んで。夜はどうしよう?私の部屋?」
ポポは私の部屋に転移してお布団の上で子犬になった。
「夜は私と一緒ね。外に出る時は子犬の姿でいてね。周りの人驚くから。ところでこっちに来て大丈夫なの?」
「ワン」
吠えながら片手(前足)を上げた。なんでもありだね。
それからは、ポポと寝て。起きたら一緒に朝食食べる。裏庭の畑の世話をして、午前中は調剤。午後はギルドに納品に行く。ロッジおじんの都合のいい日は森に行き、行かない日は薬草の下準備、お店に出す商品を増産する。不足の薬草はギルドで購入、または採取依頼を出すようにした。
シャボンの実を洗って干して殻を割って中の種子をつぶす。そのままでも石鹸の代わりになる。これに水とオレンジの皮少し刻んで油分の多いオリの実を絞って加える。少し魔力を込めると分離することなく混じりあい洗濯洗剤が出来る。そのままより肌に優しい。シャボンの実をシャボン草に変えてオリのしぼり汁を多めに入れると体用の石鹸になる。蜜蝋からはハンドクリームを作る。いずれは化粧水も保湿クリームも作りたい。色々考えて試作を重ねる。
ポポは昼間はそんな私のそばにいる。ギルドや買い物にも子犬になって付いて来てくれる。師匠の所にいた頃のようだ。しかし、夜はポポは時々転移して森に出かける。狭い家より思いっきり走り回れる。冒険者と会わなければいいなと思っている。ポポの方が強いから逆に冒険者の心配。
洗濯洗剤と体用の液体石鹸・髪用液体石鹸を小瓶に詰めてサマンサさんに渡した。ピーターソンさんがじろじろ見たけど二人で知らんふりした。ロッジおじんには奥さんに同じものを手渡してもらった。 使い方は袋の中に書いておいた。奥さんは昔ギルドの受付嬢なので字が読めるそうだ。
今は庶民の子供でも教会で簡単な字と計算を習う。それでも字が読めない人は多い。必要な単語ぐらいは覚えるが、書きはできないことが多い。お試しなので感想が聞きたいとお願いした。
母から薬師1級の合格お祝いのプレゼントを貰った。しっかりした皮のレシピ帳だった。自分のレシピを記録すればいずれは弟子に譲ることもできる。魔力で個人認証するので他人は開くことが出来ない。母も師匠に貰った手帳を持っていた。森守りがポポをあなたの所に遣わした。何かわけがあるだろうと。大きな森は繋がっているので簡単に転移できるらしい。母は元気だと。時々森の家に行って師匠のお墓参りしていると書かれていた。
おっ、思い出した。師匠から薬師1級合格したら、古い魔法のトランクあげると言われていた。母の手紙で思い出した。魔法のカバンには師匠の家の物がまだ入ったままなのだ。必要なものは出したけど おいおい片づけないとゴミ置き場になっちゃう。
誤字脱字報告ありがとうございます




