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薬師1級の試験です 緊張してます
森で収穫した薬草で薬を作りギルドに納品した。マナがたっぷり含まれた薬草だけに、作るのに苦労しなかった。蜂蜜を小瓶に詰め、蜜蝋でハンドクリームを作った。セットにしてロッジおじいとサマンサさんにプレゼントした。お菓子は調剤で時間取られてできなかったので、この次の楽しみにした。二人とも手渡した袋の中をのぞいて嬉しそうにカバンに仕舞った。
薬師試験があるのでしばらく納品が出来ないとピーターソンに伝える。仕方がないが合格してもギルドに薬品を下ろして欲しいと熱望された。まだ店を開けないので、ギルドに納品を続けたいとお願いした。安定した収入が途絶えるのは困る。突然大きな声が向かってきた。
「あー、やっと会えた。私あなたに助けてもらったマリリン。C級の冒険者。あの時、お礼も言わないでごめんなさい。ねえ見て、あんなに深かった傷の痕ないの。驚いたわ。あの時の私半分死んでた。言われた通り治療院に行ったらきれいに治って痺れも残らなかった。初期の手当てが良かったって。本当にありがとう。あなたの顔がわからなかったから探せなかったの」
元気な声で話しかけてきた。よく回る口。
「若い子が胸をはだけてはだめでしょ」
サマンサさんが声かける。それでもマリリンは話し続ける。
「それで、治療院の人が会って話したいって。私案内するから今から行こう」
ララの腕をつかもうとする。
「いやいや、行かないから。私が治したんじゃない。回復薬だから」
「えーー、連れてくると言ちゃったもの。行ってよ!暇でしょ?」
「わたしは納品に来ただけです。すぐに帰ります。私関係ないから」
「冒険者じゃないんでしょ?行けば仕事貰えるかもよ」
何を勘違いしてるのか話がかみ合わない。隣にいるパーティ仲間は茫然としていた。
「マリリン、何を言ってるの。行くも行かないのも、ララちゃんが決める事。あなたが勝手に約束してきたんでしょ。彼女に押し付けないで」
サマンサさんが間に入ってくれた。
「だって約束したんだもの」
「薬師で食べていける子なの。治療院の下働きする必要はないの」
「おまえ、お世話になった人に迷惑かけるなよ」
「お世話になった人に、なに上から目線なんだよ」
あちらこちらから声がかかる。マリリンは口ごもる。
「だって、手際がいい子なら欲しいって言ったんだもの」
「おまえ、紹介料貰っていないよな?」
「 ・・・・・・ 」
「何やってんだよ。恩人を金で売るのかよ。リーダーしっかり管理しろよ」
なんか変な方向に話が行ったので、売店の裏からロッジおじいが逃がしてくれた。その後ギルドではマリリンを含めパーティ三人がお説教を貰っていた。ララは急いで自宅に帰り鍵を閉めた。遊んでいる暇はない。
薬師の試験に向けて今一度本を読みなおす。基本5種の薬を何度も作る。材料・手順・時間・緊張すると魔力がぶれる。気を付けないと。マーガレット様の本を整理しながら試験に使えそうなものを取り出していく。あれよあれよと時間が経つ。日の月の初め 薬師1級の試験日を迎えた。薬師ギルドの重い木の扉を押し開けた。
「お待ちしておりました。ララ様、試験会場は右手奥の部屋になります。3人ほど受験者がいます。そちらでお待ちください」
「先日はいろいろ有難うございました。薬は適正価格で冒険者ギルドで販売できました」
「それはよろしかったですね。お噂は聞いております。良い腕をお持ちで。薬師ギルドとしては喜ばしいことです。1級に受かれば薬師ギルドから依頼指名が出るかもしれませんね。合格を楽しみにしています」と笑顔を向けられた。
「ありがとうございます。頑張ります」
お礼を言って奥の部屋に向かった。
ドアを開ける。部屋の中は試験用の机が並ぶ。三人の受験生が座って居た。入り口付近に腰を掛ける。先にいた三人が振り返った。
「なんで子供がいるの?」
「ここ試験会場だよ」
そんな事言っても試験受けに来たし、子供じゃないし。その時奥のドアから年配の男性が入ってきた。
「今回は4人だね。机の上に薬師ギルドカードを出して本人確認します。魔力を流して2級の合格確認もします。
「アーロンさん確認取れました。ドーマさん確認取れました。アルスターさん確認取れました。ララさん確認取れました」
「では今から筆記試験です。以前受けた方もいるようですが、同じ内容ではありません。50問中40問正解で、筆記試験は合格です。集計はすぐに終わります。合格された方は、調剤の実地試験に進みます。調剤薬ランクはレベルAです。鑑定機ですぐに判定します。合格者は本日、1級に変更します」
話しながら試験問題配る。
「開始!」
開始の合図とともに部屋に静寂な空気がながれた。問題を解く者・答えを書く者・悩む者、時間だけが過ぎていく。ララは問題なかった。試験内容は難しくなかったと思う。1時間後。
「やめ!回収します。受験生は後ろの席に移って下さい。1時間休憩します。10時にはこの部屋にお集まりください」と言ってさっさと出ていった。
「アーロン出来たか」
「お前はどうだよ。お互い3回目だからな。今回は受かりたいな」
「1年勉強したから筆記試験は大丈夫なんだがな・・・」
顔見知りか話を始めた。何気なく話が耳に入る。
「あの・・俺、アルスター。君見たことない子だけど何処の薬屋の子?」
ふいに声かけられた。一度に3人に見つめられた。
「この春にフォレストアインジャンに引っ越してきたばかりです。薬屋には勤めていません。学園を卒業して、自宅で薬作って冒険者ギルドに納品しています」
「えーー自分の調剤室持っているの?すごい!俺たちまだ道具だって共同で使ってるのに。道具そろえるだけでも大変なのに。お金持ち!?」
「師匠の遺品を貰ったから」
「ごめん。悪いこと聞いちゃった。俺たち、それぞれ師匠のとこで修行しているんだ。1級取ったら一人前になれるんだ。俺は実家に帰って店を継ぐ予定。今回2回目なんだ。合格しないと困る」
「1級は、ほんとに難しいから、落ちても気落ちしないで。試験は年4回受けれるから。今回4人も受けるのが珍しい。めったに受験生いないんだ。まあ、薬師は見習い期間が長いし修行はきついからな。まあゆっくり頑張れ」
「ありがとうございます」
なんか落ちるの決定みたいな雰囲気になってる。 10時になった。
「皆さん頑張りました。今回全員筆記合格です。テスト結果は実地試験の後に返却します。そのまま廊下に出て、右隣りの部屋に入って下さい。調剤室になっています。4人分用意してあります。では移動してください」
安堵の息を吐く暇なく調剤室に移動した。
4つの調合台の上に道具がそろっていた。その前のテーブルに何種類かの薬草・水素材・脂基材・調和材・軟膏壺・回復薬の瓶、調合台の近くに監督官が立っていた。
「では今から、火傷か傷軟膏と初級の回復薬を作ってもらいます。軟膏は自分の得意とするものでよいです。ただ材料はテーブルの上にあるもので作って下さい。作成中に監督官が傍にいますが、気にしないでください。では始めてください」
緊張感が部屋全体に広がった。まずは何を作るかだ。最初に初級のポーションの材料を選んでおこう。アマドコソウの根・オトギソウ・黄花、水素材に容器、これを先取りする。火傷の軟膏を先に作る。ウレモの根・ズイロの根・モクテ草 脂基材に壺2個・・・・
受験生は最初は周りを見回していた。その後調剤を開始した。刻む音・磨り潰す音・煮詰める音などが聞こえるだけになった。どんな薬も組み合わせや調剤の仕方によって、効果は変わる。深い傷と擦り傷、火傷の傷では軟膏の種類も違う。軟膏は薬草の知識取り扱いの技術を見るためだ。初級ポージョンは軟膏作成のレベルが上がればCレベルはできる.。ランクBに挙げる技術が必要だ。
2時間後終了の合図で手を下ろす。できた薬品を自分の監視官に手渡し合否を待つ。30分後一人一人が個室に分かれ合否判定を聞くことになる。
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