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【完結】魔法が使えるようです  作者: ちゅらちゅら
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冒険者ギルドのけが人とリンゴタルト

 可愛い女の子が薬を売りに来たと聞いて、走って部屋に入れば13歳ぐらいの子供だった。話してみたら学院卒業しているって。優秀なんだな。話せばすぐに返事が返ってくる楽しくお話ししていたら、魔物の怪我の騒ぎに出くわした。


 本来ポーションを何本か持参しているのだがケチったか、使い切ったか。回復薬を届けに行ったら、先ほどの女の子がマリリンの傷を治していた。流れるような動作で。瞬く間に止血して軟膏処置していた。怪我したら回復薬を飲ませるか傷にかけるかだ。傷は残っても勲章だ。女性には言えないけど自己責任。あれだけ早く止血出来たら仕事復帰がすぐできそうだ。やっとCになったばかりのパーティー、金銭的に余裕はないだろう。


 しかし結構深い傷なのに初級ポージョンでは無理かなと中級も持ってきてみれば、彼女の作った軟膏で済むなんて驚きだ。中級回復薬を飲んだとはいえ十分な回復だった。彼女は止血しながら回復魔法かけていた。だから止血も早く深い傷も修復が早かったんだろう。回復魔法は動く魔力が小さいので魔力が見える俺ぐらいしか気が付かない。最後に強めのクリーン魔法使っていたほんの10分ぐらいで処置が終わる。気が付けはマリリンの顔色は良くなっていた。


 彼女は何事もなかったように2階の部屋に戻っていった。あっという間の出来事に声を掛ける間もなかった。持ち込んだ薬と回復薬はすべて正規額で購入した。下はまだ大騒ぎしていた。裏の出入り口を教えた。彼女はそのまま何事もなかったように、裏口から帰っていった。ギルド内はまだ騒然としていた。


「誰?あの子。子供?見たことないよ」

「見たことないよ。すげえなパッパッとあんな大きな傷治してたよ」

「血がドバドバ出てた。腰抜けちゃった」

「やっぱりポーションだよな。マリリン顔色良くなった。良かったよな」

「俺、パーティーに勧誘しようかな。可愛いし役立つよな」 

「バカ!子供過ぎて攻撃の邪魔だろ」

「うるせい」

 酒飲みもいるので声がでかい。サマンサが切れた。


「うるさい!!! マリリンは落ち着いたから静かにしなさい!これ以上騒ぐと燃やすよ!!!」

元A級冒険者。業火の乙女に燃やされたら火傷では済まない。灰になる。蜘蛛の子散らすように人だかりが散った。静かになった。これからの時間は、冒険者や取引商人の出入りが増える。忙しいのだ。そんな中 会議から戻ったギルドマスターに今日の事を報告していた。


「今日薬持ってきた子すごいの。魔物の大きな傷をあれよあれよという間に治した。回復魔法も使えるみたい。薬はみんなランクAなんだ。錬金薬のAだから、すごーーーく良く効いた!」


「ララといった子かな?早いね。もう来たんだ。昨日こちらに着いたばかりなのに。詳しいことは何も知らない。王都でノルダイン様が知り合って、優秀だからとうちの領に引っ張ってきたそうだ。 後見人もしている。薬師は大事にしないとだめだぞ。いつもの癖で根掘り葉掘り聞いたり付きまとったりするな」

「でも・・・」

「これ以上騒ぐと、薬担当外すぞ」


 しぶしぶ部屋から出ていく後姿を見た。あきらめないだろうなと思った。ピーターソンは仕事の出来るいい職員だ。それは確かだがこだわりが強い。一つ気になるととことん追求する。そのせいで他部門や冒険者ともめる。寛容になれと何度言ったか。悪い奴ではないが困ったやつだ。


 ピーターソンはギルドマスターの忠告ぐらいであきらめなかった。彼女の事を聞きに薬師ギルドに行ってこっぴどく怒られた上に情報は手に入らない。さらに彼女の周りをうろうろして不審者扱いを受けた。仕方なく伝手を頼る。1年の時の同級生のスミスが薬学の先生をしている。手紙を出した。


スミス様へ 今年薬学卒業したララについて教えてください。 ピーターソン


 ピーターソンは同級生といってもスミスを覚えていない。スミスもピーターソンを覚えていない。専門コースが同じならまだ分かるが、基礎コース頃なんて覚えているわけがない。さらに二人とも自分の興味あるものにしか興味が持てない。学院卒業生の半数以上はその傾向が高い。当然、知らない人へ返信はなされなかった。ピーターソンはなぜ返信が来ないのかわからなかった。


 そんなことなど知らぬララは、買い込んだ食材を保管庫に入れた。明日はフイアおばさまの所に、リンゴタルトを持っていくことにした。今日ギルドでお薬がAランクだったこと、薬師1級の試験の事、

アイザックの街の様子や借家の事を母に知らせないと。あとポポを呼び寄せることも。相談しなければならない。ダリアに新しい住所知らせないと怒られる。スカーレットは何処に配属されたかわからないから・・・ダリアの返事待ちかな?残り少ない薬草・薬品の分別と収納。思いつくことが次々出てくる。今日のギルドのことなど忘れてしまった。


 ララは自分の中の『りえ』のことは、なんとなくわかっていた。長い時間かけて馴染んでいき。そのせいでララは年齢の割に大人の思考をする。『りえ』の世界の事を事細かくはもう覚えてはいない。ただ体は覚えていたのだ。人を助けることに抵抗はなかった。この世界には魔法がある。お金があれば高位の回復魔法が受けれる。魔法があっても死人は生き返れない。


 手を洗う・風呂に入る・服を洗う・換気をする・魔法で済ませればたいしたことない。それが必要とは思っていないし魔法が無ければ手軽にできない。魔物の傷もそのままポーションで終わり。怪我もポージョンや塗り薬で治療するのが当たり前。傷の汚れを落とす・清潔にする・安静にする・止血する。等の細やかなことは気にしない。傷が残ろうが、痺れが残ろうが、ポージョンが効かなければ死ぬだけ。


 疫病などが蔓延したら死ぬしかない。過去にも何度か疫病が蔓延した。薬が無ければ死んでしまう。その薬さえ手に入らない。それでも薬師が作る薬を使えば少しは助かる人がいる。そのうち効果のある薬が作られる。薬師の作る薬は命を守る盾だ。 


 今日はリンゴタルトを作ろう。まずはボウルに卵とミルクを入れて風魔法で泡立てる。パンケーキ用の小麦粉を入れてさっくり混ぜる。フライパンにバターと砂糖を入れて少し煮詰める。薄切りにしたリンゴを綺麗に並べてこんがり焼き色になるまで焼く。ボウルの生地を流し込んでふたをしてじっくり焼き上げ、お皿にひっくり返して 出来上がり。母に教えてもらった。フライパンでできるお手軽リンゴタルト。


 籠に入れて布をかけ 私が作った紅茶を持って、フイアおばさまの所へ挨拶に出かける。アイザックのお屋敷は領主様のお宅より森に近い。『フォレストアインジャン』私と同じ街に住んでいる。執事やメイドに護衛の人もいるので立派なお屋敷ではある。フイアおばさまは喜んで向かえ入れてくれ、メイドに籠を手渡した。マロン色の落ち着いたシンプルデザインのワンピースを着ていた。クロフィード様は領主館に出かけている。隠居したとはいっても何かと忙しいそうだ。


「私が作ったお手軽リンゴタルトです。母直伝ですが…食べてください。紅茶は師匠からお墨付きもらった物なので美味しいと思います。刺激の少ない柔らかな味と香りの物を選びました」

「あら、手作りなんて嬉しいわ。さっそくいただきたいわ」

メイドに指示を出す。


「お家はどうかしら?不都合なことなかった?心配していたんだけど」

「とても素敵なお家です。厨房が広いし道具も色々残っていたので助かっています。今すぐにもお菓子店が出来そうです」

「それなら良かった。空き家になって日が短いから良かったのね。私たちの所と近いのが一番良いとこだわ。せっかくお友達になれたのだから」

「お友達…ですか こんな小娘でいいのですか?」

「良いに決まってるでしょ。本当は孫にしたいけど無理よね」


「とんでもない。今のままで十分です。学院卒業してどうしようか悩んでいた時に声をかけていただいて、とても感謝しています」

「この話はこれで終わり。旦那様に先走りすぎると、また怒られちゃうわ」


 リンゴタルトと紅茶でお茶をした。薬師試験の事や冒険者ギルドで薬のランクがAだったことなど転居ししてからのことを話した。話が弾み夕飯までいただいて帰宅した。 

誤字脱字報告ありがとうございます

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