03
宴会場でも居酒屋でも無いらしいので、俺は仕方なく部屋の中に入る。
「おう! 来たか勇! お前も飲むか?」
「アホ! お前の息子はまだ未成年だろうが!」
「あ、そうだった!」
「「あーはっはっはぁ-!!」」
面倒くせぇな……この酔っ払い二人……。
一人は親父だけど、もう一人は誰だ?
なんか威厳の有りそうな感じの人だなぁ………親父と随分親しそうだけど……。
「親父、色々聞きたい事があるんだけど」
「あぁ、そうだろうな……実は俺もお前には色々と話しをしなければと……思っていたところだ」
「………一体何を……」
親父は急に真剣な表情で話しを始めた。
この異常な事態の説明が親父の話を聞けば分かるのか?
俺がそんなことを考えていると、親父はゆっくりと話し始めた。
「勇……俺はお前に今まで嘘を付いていた………すまない」
「この状況考えれば何となく分かるよ、それで嘘っていうのは?」
「父さんな…………」
「ゴクリ……」
「実は………B型じゃなくて………A型なんだ………」
「…………なるほど」
「うむ…………」
「それだけ?」
「それだけだ………」
「………」
「あイテ!」
俺は無言で親父の元に近づき、思い切り親父の頭を殴った。
「おい! パパに一体なにをするんだ!」
「何がパパだ気色悪い!! 良いからこの状況の説明をしろ!!」
これだから酔っ払いは……。
親父に話しを聞こうとしてもまともに応えてくれるとも思えない。
母さんに話しを聞きたいが、母さんは一体どこに行ったんだろう?
「親父、そう言えば母さんは?」
「え? あぁ、母さんなら今着替えをしている、そろそろ来る頃だろう」
「着替え?」
「あぁ、そうだ。お前も早く着替えろ、お前が起きたなら、すぐに出発しよう」
「出発って……一体どこに?」
「城だ」
「へ?」
親父がそう言った後、どこからともなくメイドさんと執事が数人やってきて、俺と親父を別な部屋に連れて行った。
本物のメイドさんと執事にもビックリだったが、別室で着替えさせられた服装にも驚いた。
「なんだこの服……」
俺が着せられたのは、まるで昔の人が着ているような服だった。
なんと言えば良いか分からないが、貴族なんかが昔着ていた服のようだった。
そのまま俺は親父に連れられ、お屋敷の外の馬車に乗せられた。
「一体、どう言う状況なのか、そろそろ説明を……」
「あぁ、わかったわかった。馬車に乗ったら、説明してやるから、さっさと乗れ」
俺は親父からそう言われ、馬車に乗った。
馬車に乗ると、馬車には既に母さんが乗っていた。
しかも、ドレス姿で……。
「か、母さんまで……」
「あらあら、よく似合ってるわよ、勇」
「あ、そう? じゃなくて! なんでこんな事になってるんだよ! 転勤って話しじゃなかったの!?」
「転勤よぉ? 今からあぁ……お父さんの会社みたいなところに行くのよぉ~」
「どう見ても会社って感じじゃ無いけど……」
「まぁ、お前がこっちにきた時はまだ小さかったからな、覚えて無いのも無理は無い」
「何を言ってるんだよ、いい加減教えてくれよ、なんでこんなことになってるのか!」
「まぁ、落ち着け、数分で説明が出来る話じゃない、簡単に説明するぞ」
「お、おう……」
「まず、ここはスウェルト王国、人口100万人以上の大国だ、そしてここは日本では無い、いや元の世界では無いと言った方が正しい」
「や、やっぱりここは……」
「そうだ、現在アニメや漫画、ライトノベルで大人気の異世界だ!」
「そんな風に言われるとなんか力抜けるな……まぁ、正直薄々はそんな事を考えてたけど……」
「理解が早くて助かる、お前に異世界物の漫画を薦めていて良かった」
「まぁ、それのおかげでは無いけどな」