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02

「マジで一体ここはどこだよ....」


 窓から見える景色は俺が知っているものではなかった。

 煉瓦造りの家や見慣れな服を着た人達。

 俺は一体どこに来てしまったのだろうか?


『スウェルト王国だ』


 まさか親父の言っていた事が本当だとするなら、俺は異世界に転移してしまったってことか?

 でも、なんで俺はベッドに寝ていたんだ?

 それに親父や母さんは....。

 俺がそんな事を考えていると、部屋のドアが二回ノックされた。

 まさか、他に人がいるのか!?

 いや、もしかしたら親父かもしれない!

 あのクソ親父めぇ〜!

 なんの説明もなくこんなところに連れて来やがって!

 俺は眉間にシワを寄せながら、急いでドアの方に向かい、勢いよく扉を開けた。


「おいクソ親父! 一体これはどういう......こ......と?」


 ドアを開けた瞬間、そこに居たのは親父ではなかった。

 金髪のロングヘアーで青い瞳をした女の子だった。


「え? えっと……お、お目覚めですか?」


「え! あ、いや……誰?」


 彼女の可愛い顔を見た瞬間、俺は自分の顔が赤くなっていくのがわかった。

 一体この子は誰なのだろうか?

 日本人では無いようだけど……にしてもすげぇ美少女だな……。


「申し遅れました、私はクラミイ・ベリルと申します」


「あ、どうも……俺は、じゃない…自分は高山勇で……」


 いや、正直自己紹介どころの騒ぎじゃないんだけど……。

 この子には聞きたいことが山ほどある、そもそも俺がなんでここに居るのかとか、親父達はどこに行ったのかとか。


「あ、あの……なんで俺はここで寝てるんですか?」


「あぁ、ここはストレイヤー様のお屋敷ですよ」


「ストレイヤー? それって一体どなたですか?」


「お話はお伺いしております、今まで辺境の村で育ってきたそうで、色々知らないことが多いとか……ストレイヤー様もご子息である貴方には偽名を名乗っていたそうですね」


「は? 親父? 親父の名前は高山剛太郎たかやま ごうたろうだぞ? ストレイヤーなんて外人みたいな名前じゃない!」


「……お話はご本人からお詳しく聞くのが一番だと思います、こちらへどうぞ」


 俺はクラミイさんに案内され、部屋の外に出た。

 長い廊下に高そうな装飾品の数々、一体この屋敷はどこの金持ちの家なのだろうか……。

 俺がそんな事を考えているうちに、クラミイさんは少し歩いた先のドアの前で立ち止まった。


「こちらでストレイヤー様とお父様がお待ちです、お話はそちらで聞けます」


「は、はぁ……えっと……君は一体何者なの?」


「それも中で話を聞けばわかりますよ、さぁどうぞ中へ」


 俺はクラミイさんにそう言われ、ドアを開けて中に入る。

 一体どんな話を聞かされるのだろうか?

 これだけ非現実的な事が起きてるんだ、親父からの詳しい説明があるはずだ。

 俺は何を聞いても驚かないように覚悟を決めて、部屋の中に入って行った。


「だぁーははは!! ベリル! お前もジジ臭くなったなぉ~」


「何を言ってる! お前の方が老けただろうが! すっかりただの親父になってるわ!」


「いやぁ~あっちの生活でなぁ~それよりもっと酒!」


「飲みすぎだぞ、この酔っぱらい!」


「………」


 ドアを開けたその先に一体どれだけの重たい空気が張り詰めているかと思ったら……どうやら間違えて宴会場に来てしまったようだ。

 俺は静かにドアを閉め、クラミイさんに言う。


「すいません、宴会場と間違えてませんか?」


「いえ、その部屋のはずですが……」


「そうですか」


 もう一度、俺は中を確認する。


「だははは!! ほれ! 一気にいけー!」


「うぐ……うぐ……ぷはぁー! うぃーお前もいけ! ストレイヤー」


「おう! うぐ……うぐ……うぐ……」


 俺は再びドアを閉める。


「すいません、やっぱり間違えてます、ここは恐らく居酒屋です」


「違いますよ。お気持ちはわかりますが」


 クラミイもなんだか気まずそうな顔をしていた。

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