第四話『お花見にゃん』
第四話『お花見にゃん』
《美味しい食べもんをお供に、にゃん》
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「だから、いったじゃない。
アタシみたいにね。
キレイなもんを鑑賞したかったって」
「ふにゃ?
——ウチの親友ったら、
突如、意味不明にゃセリフを——」
「んもう!
そんじょそこらのネコより、
でっかい図体してるクセに、
カワイく、ちょこ、っと、
首をかしげてんじゃないのわん!
——ちっくしょう。
さらり、
といってのけたつもりだったのにぃ。
失敗かぁ。
ミアンったら、
なぁんでこういうのにだけは鋭いのわん?
ネコってこういうもんなのわん?
……なぁんて、
頭の上を疑問符でいっぱいにしても、
しょうがないっか。
あんまりこだわっていると、
どんなツッコミが、
襲ってくるともかぎらないしね。
『キレイなアタシって好きですか?』は当分、
この小さな胸の中にだけ、
しまっておいて、っと。
……うわん。
まだ、
こちんこちん、に固まったままなのわん。
なぁんかいってやらないと、
ゆるゆる、と動きそうもないのわん。
ならとりあえずは、
本来の目的な『キレイ』のほうで——
お花見、お花見なのわん。
ほかじゃあ、めったにお目にかかれない」
『狂喜乱舞』
「との言葉にぴったりな、
——意味は、さぁっぱりのぱり、だけど、
それは内緒の緒。
アタシだけの秘密なのわん——
ぱぱぁっ! と咲き乱れる姿をね。
じぃっくりのくり、に、
この目に焼きつけたかったのわぁん」
「……はっ!
——にゃあんか我に返ったのにゃん。
んでも、
『我に返った』ってことはにゃ。
『固まっていた』ってことにゃん。
にゃあんでまたおしゃべりの最中に?
……まぁいいにゃん。
過ぎ去ったことを、くよくよ、考えても、
ネコはネコのままにゃもん。
にゃら今は前向きに、
おしゃべりに没頭するとしようにゃん——
お花見とはにゃあ。
ウチも好きにゃんよ」
『「生きる」の幸せ、素晴らしさを、
表わすかのごとく、
満開に咲いている花々の美しい眺めに、
ほれぼれ、としにゃがら』
「は、いうまでもにゃいのにゃけれども」
『この世の哀れ、はかにゃさを、
表わすかのごとく、
悲しげに舞い落ちる花びらの雨に、
身も心も、うっとり、としにゃがら』
「にゃあんて心持ちで、
美味しいもんをほおばるのもまた、
風情があって、
およろしいんじゃにゃあい?」
《およろしいもんで、つづくのにゃん》