第二話『丸ぅくにゃるのにゃん』
第二話『丸ぅくにゃるのにゃん』
《寒い日は、あったかこたつ、でにゃ》
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「へぇ。アタシは面白かったのになぁ」
「そりゃそうにゃよ。
ある時には、
ウチの背中に乗って、ごろごろ、にゃし。
またある時には」
『完全霊体化』
「してにゃ」
『じゃあ、向こうで待っているのわん』
「にゃあんて捨てゼリフを残して、
すぅっ、と消えちゃうのにゃもん。
つらいわけがにゃいのにゃん」
「てへっ」
「——舌出して照れてるのにゃん。
んもう、どうしようもにゃいのにゃあ——
にゃあ、ミーにゃん。
ウチにゃって、
『完全霊体化』したかったのにゃよ。
にゃのに、にゃあんで」
『ミアんはダメなのわん!』
「にゃったの?」
「ちっちっちっ。
——とネコ差し指を振るしかないくらい、
とてつもなく哀れな抗議なのわぁん——
ミアンったら、
ぜぇんぜぇんのぜぇん、に、
判っていないのわん」
「というと?」
「アタシたちがめざしたのは」
『秘境』
「なのわん。
秘境といえば、困難がつきもん。
苦労して当然なのわん。
なのに完全霊体化なんかしちゃったら、
どうなると思う?
らっくらくのらっくらく、で、
ゴールしちゃえるのわぁん」
「いいじゃにゃいの。別に」
「『いいじゃないの』じゃないのわん!
秘境の尊厳が損なわれるのわん。
それはとりもなおさず、
自然の偉大さを、
傷つけることにもつながる。
精霊だって妖精だって、
自然の営みが生んでくれた命じゃない。
なのにぃ……。
んなマネ、許されっこないのわん!」
「にゃら、
にゃあんでミーにゃんは、
難行苦行をしにゃいのにゃん?」
「アタシはイオラの森のお姫さまなのわん。
難行苦行なんて、
一番『縁のない存在』なのわん。
……とはいえ、よ。
秘境に行くとなるとねぇ。
どうしたって、
立ち向かわなくちゃならなくなるしぃ」
『この矛盾を回避するには、
どうすればいいのわん?』
「目の前に立ちはだかった、
絶体絶命な難題に対して、
アタシの黄色い脳細胞がフル回転した末に、
導き出した答えは」
『そこよ、そこ。
そこでミアンの登場となるのわん!』
「だったの」
「ウチの?」
「ミアンをアタシの名代とするのわん。
まっ早い話が、
アタシの代わりに苦労すればいいのわん。
それだけで四方八方、丸ぅく収まるのわん」
「——にゃあに勝ってにゃ、
『ごたく』並べてんのにゃん——
にゃあ、ウチはどうしてくれるのにゃん?
さぁっぱりのぱり、に、
丸ぅく収まらにゃいのにゃけれども?」
「大丈夫。
ネコなんだから、
帰ったら、
こたつで丸くなればいいのわぁん」
「あのにゃあ」
《ミーにゃんったら、ネコを軽ぅくあしらいすぎてるのにゃん》