第一話『秘境は難行苦行にゃん』
第一話『秘境は難行苦行にゃん』
《んにゃの、ひきょうじゃにゃいの、とは違うのにゃんよ》
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ちらっ。
「誰か読んでいるのにゃん?」
ちらっ。
「誰か読んでいるのわん?」
『んにゃら、始まりにゃん!』
《長らくお待たせしましたのにゃん》
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のっしのっし。のっしのっし。
「ほら、ミアン。
あともう少し。
あとわずか。
あと一息なのわん。
根性、根性、ど根性で踏破するのわぁん!」
「ふにゃはにゃ。ふにゃはにゃ。
——こっちは、満足にしゃべれにゃいほど、
ふらふらのふらふら、にゃっていうのにぃ。
大体にゃあ。
今時、
『根性』を連呼するにゃんて、
時代遅れも、はにゃはにゃしいのにゃん。
ネコ同士にゃら、
『にゃははっ。おっ古いのにゃん』
にゃあんて笑われて笑われて、
笑い転げられてしまうところにゃんよ。
……にゃあんて、
体育系っぽいミーにゃんにいってもにゃ。
まっこと、せんにゃい話にゃもんで、
ひとりグチをこぼすにゃけ、
にしておくのにゃん——
んもう、ミーにゃんったらぁ。
ネコごとにゃと思って」
「ネコごとだもん」
「あのにゃあ」
《ツッコミの余地すら与えてくれにゃいのにゃん。ぐすん》
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「はふぅ。
——と目一杯、深呼吸したのわん——
ようやっと、
『天空の村』の秘境へ到着したのわん!」
「ミーにゃん」
「おや? どうしたのわん?
美味しいもんを横取りされたような、
不機嫌な顔なんかして」
「のほうがまにゃましにゃんよ。
にゃんにゃの? あれは?」
『鋭くとんがった大小の灰色岩の群れが、
まるで記念撮影でもするかのように、
ほとんどすき間にゃく立っている』
「にゃあんていう、
険しい岩場の難所を踏破させたりしてぇ。
もう行くも地獄。帰るも地獄。
『道』にゃんてとてもいえにゃい、
せまっこくてでこぼこしている、
合間合間をにゃ。
ぬぐうように登りつめて、
やっとこさ、
頂上へと踏破した時にゃあ……、
涙ぽろぽろ、ものにゃん」
ぱちぱちぱち。
「——とまぁ拍手喝采なぁのわん——
エラいエラい。
それでこそ、ミアン。
イオラの森のお姫さまな、
アタシが認めた親友だけのことはあるのわん」
「んでもホントの苦難はそれからにゃった。
ほとんど垂直に切り立った崖をにゃ。
降りたり登ったりの連続にゃん。
……そうそう」
『川の中に潜ってのネコ泳ぎ』
「にゃあんていうのもあったにゃあ」
『泥にゃらけで地中をはって』
「にゃあんてぇのも……はあぁ。
——と想い出せば出すほど、
深ぁいため息がもれてしまうのにゃあ——
どれもこれも、俗にいう」
『けもの道』
「を超える難行苦行にゃった」
《ネコを大切にしてにゃ、と哀願しにゃがら、つづくのにゃん》