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ゆい  作者: ゆぅ
2/3

2話

(そら)

 空!!!!」

出張で、大阪にいないはずの兄の声が聞こえた。

目を覚ますと、心配そうに私の顔を見る兄がいた。


「そーらー!!!

 迎えに来て何時間も待っているのになかなか起きないから心配したよ。。。。。」

相変わらず過保護な兄を無視して時計をみた。

すると、16時と表示されていた。

私は、7時間も寝ていたのだ。。。

昨日しっかり寝たはずなのにそれほどゆいの事が衝撃的だったのだろう。

目を覚ましてすぐ私は、宮本先生と担任の山本先生に挨拶をして兄の車で家に帰った。


車の中では、終始無言だった。

普段の私なら、久しぶりに兄に会えたという事でテンションもあり沢山話をしているが

今日は、ゆいの事があり何も話す気になれなかった。


家に着くとベットに直行した。

兄が何度か私の部屋をノックする音が聞こえたが、無視をした。


なんで、ゆいが自殺したのか

昨日のゆいは普段と変わらず明るいゆいだった。

なにかゆいは私に気づくようなアクションを起こしてたの?

自然とあふれる涙を拭いながら自問自答を繰り返した。


泣き疲れて眠っていたのか

気が付けば空は真っ暗になっていた。

のどが渇いたのでリビングに入ろうとすると兄が誰かと電話をしていた。


「はい。

あの件については、追々本人から聞くつもりです。

・・・・・・」


聞いてはいけない会話だと思い部屋に戻った。

そして、携帯を見るとクラスのグループラインが賑わっていた。


話題の中心は、ゆいのことである。

そして、なぜか人気アイドル中田颯(なかたはやて)についての話題も上がっていた。

なんでも、今日の歌番組で中田颯が歌いながら泣いており、

その曲が妹にあてた曲、母校の中学がゆいと同じという事

そして、ネット掲示板に南第1高校の自殺した少女の兄が田中颯であるという匿名の書き込みがあり

それが今ネット上で話題になっているからである。


そのラインを見ている中で、私はゆいの本当の友達だったのかすごく不安になった。

私は、ゆいから兄がいることを聞いていなかった。

よくよく考えるとゆいの誕生日や家の最寄駅すら知らなかった。

知っていることといえば、趣味や好きな音楽のジャンルなど誰でも知ることができるものである。



ゆいにとって、私は本当に親友だったのかな。。。。。



ゆいは私に本当は助けを求めてたんじゃないのかな。。。。。




もしかして私の事が嫌いで自殺したのかな。。。。。




ゆいと私の関係っていったいなんだったんだろう。。。。。


さっき沢山涙を流していたはずなのに

また言葉にできない感情がこみ上げて涙があふれてしまった。








その日は、結局眠ることができず泣き止んでは、自問自答してまた泣いてというのを繰り返した。

次の日から3日間高校を休んだ。

高校に入学してこんな長期間休むのは初めてであった。

休む連絡をすると担任は、ゆいの事でと察しをして週明けにはくるようにという約束をし許可をしてくれた。


そして、私はその3日間ずっと部屋に引きこもった。

何をする気も起きなかった。

兄もそんな私を心配してくれずっと家にいてくれた。





引きこもって3日目ゆいのお通夜があったため兄と一緒に会場に向かった。

会場には、クラスメイトや担任などたくさんいた。

みんな涙を流していた。


ゆいのお母さんに挨拶をすると

「いつも結花と仲良くしてくれてありがとう。

遺品を整理していたらこれが出てきたの」

そういって一通の手紙を私に渡してきた。

そして

「結花の分まで、精いっぱい生きてね」

と涙ながらに私に伝えてきた。


ゆいのお母さんの言葉に私は、

「頑張ります」

その一言しかいう事が出来なかった。


そして兄と一緒に焼香を済ませ笑顔のゆいの写真に

「またね」

とつぶやき会場を後にした。


その日は、兄とたくさん話をした。

兄が、明日仕事で東京に帰るという事で兄がいない間に起きたこと

そして、ゆいとの思い出もしゃべった。

兄は、ずっと笑顔で私の話を聞いてくれた。


兄と話をした後、部屋でゆいから貰った手紙を読んだ。

そこには、衝撃的なことが書いていた。

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