第参拾幕:輝石の再会
クロエが目を覚ますのを待ってから、石像も交えて会議が始まった。
一同が車座になるが、当然大きいのが一体混ざっているので、クリューはそこに丸ごと収まるような形で座ることになる。
「これで勇者はあと一人か」
構わず口火を切ったクロエに
「まだあと一人もいるの!?」
お前な?言っとくけどこれまだ初期ダンだからな?
全員のワケねぇだろ?
_忘れてた。
肆魔将の一人や魔王側の人間とか濃いメンバーが犇めいていたから少なくとももう中盤戦くらいだと、、、
残念だけど歌でいうとAメロ。
前奏終わって歌い始めのところな?
_マジで!?
マジですかクロエはん!?
「お前の魔族化についても調べなきゃいけないしな?」
「あ、うん」
あの時のことを思い出すと今でも苦しくなる。
「それに魔素とソーマの成り立ち、ですね?」
「アリエス様のこともな」
まずどっから手をつけたらいいか、、、
「まずはここから行ってみない?」
出ました!クリュー先輩のタブレット裏技!
秘技ビニールシート!
何か石像の技みたいになっていた。
_まぁそうなるわな。
目から光線が出てる。
_召喚魔法みたい。
真下に出たマップは石像で半分ほど見えない。
「今の山がこの街にあるから、、、」
街?どれが?
このままロックグラスを西に抜ければすぐ神殿に着きますね?
「うん!」
元気いっぱいのクリューは不安の象徴だった。
「このまま西に5㎞!」
_歩くの?
勘弁して下さい。
当たり前だけど、下山は来た道を戻るルートだった。
転送システムとかはないらしい。
変なとこでゲームらしくないんだから。
嫌な予感は的中して、崖を降りることに。
皆結構楽にいくけど、私無理だからね?
いくら何でも中学生女子にそれは無理だからね?
_ピィ。
あ、忘れてた。
不死鳥を出して運んでもらうことに。
ガクッ
ちょっと待った!
咥えていくの!?
私の襟元を後ろから咥えた不死鳥は次の瞬間崖に沿って直滑降に、、
一刹、
_大丈夫ボクに任せて!
誰かの声がしてそこから着地までの記憶が途切れた。
「やるじゃねぇか」
バンッと叩いてきたのはクロエかと思ったらクリューで。
たぶん肩を叩きたかったんだろうけど、届いていなかった。
私が何かしたみたいになっているらしい。
結局自分でもどうやっていったかわからず終いだった。
ただ物凄い怖い目にあったような気はする。
首をかしげながら歩くこと暫く、
ザクザク
ゆうちゃんとの再会。
ザクザク
魔法技の講習。
ザクザク
黒龍撃破。
など色々思い出しながら山を下りていく。
_ここで固定ボス食ってたんだよね。
あの時はまだ何も知らなかった。
レベルも低かったし。
やっと山を下りて街についた。
_アレ?繋がってたっけ?
広い石畳がズラリと連なりやっと私はこの街をゆっくり眺め、、、
「カナちゃん一緒にお風呂入ろうよ?」
「やだ私と服買いに行くの!」
「それよりまずは下着を、、、」
来た時よりゆっくりできなくなっていた。
それよりお風呂には入りたい。
着の身着のまま城からここまでなので汗も凄いから。
_支給品というか替えの学校制服はあるが、一応見ておきたい。
ファーリアの文化にも触れたいし。
_鉱石を繊維化できるとかどんな技術だろ。
決めた。下着、服、お風呂の順番で。
何か文句を言っている声が聞こえるが気にしない。
「それでいいよねクロエ?」
「いいんじゃねぇか」
グループ、もとい担当コーディネーターが決まった。
_くじ引き?
私達が引くんじゃなくて何で輝石が引いてんの?
そんで私に当たれなかったのか、どんよりするクリュー。
ウェイとローが私に当たって、ラ、ティ、ルゥがクロエのところに。
すれ違い様に「許さない」とルゥが呟いたのが私の耳に入ってきた。
気を取り直してまずは服屋さんを探す。
ここロックグラスでは武器を扱う鍛冶屋とは別に、服や下着といったものを扱う服飾雑貨店があるらしい。
あとで鍛冶屋さんにも寄ろうなどと話しながら私達は服屋さんを目指した。
はい。お待たせしております。
ごめんなさい。
色々あってここからが一般的な「第一章」ということになります。
前置き長くてすみません。
山を下りた一行はこれからショッピングに向かいます。
色々とファーリアの文化にも触れはじめます。
次回からシリーズ初のお風呂回。
焦点は「龍貴晶」
龍の視点で語られる物語の真実。
そこで知ることになる疑惑、ゆうちゃんの話、その先で知らされる数々の事実を前にカナはどう立ち向かうのか?
その前にまずは服を買いに行きます。
次回第参拾壱幕:服飾雑貨店クラeムガード
引き続きカナかなクロニクルをお楽しみ下さい。