第弐拾伍幕:魔皇妃ロッドノエルの再誕
「さぁ勝負といこうか勇者とやら」
沙耶ちゃんの体で復活を果たした魔皇妃。
_いやらしい顔作りよってからに。
特に関わりはなかったが、どういう子かは人伝に聞いて知っていた。
「あの子笑うとすっごく可愛いんだ!」
_それだけに余計に腹が立つ!
「いけません!魔皇妃様!まだお身体が!」
急に慌て始めたクロムウェル。
それに沙耶ちゃんが、
「構わんよ。私には沙耶がついている」
「は?」
沙耶ちゃんの言葉を図りかねたクロムウェルに、
「彼女は今しも親友を殺してしまった自分への怒りと恐怖でイイ魔素を育てつつある。
このままうまくいけば或いは、、、な?」
クロムウェルには魔皇妃が何をしようとしているのか検討がついた。たが、
「しかし、、、」
食い下がるクロムウェルを黙らせるためロッドノエルはこの場の魔素を借りることにした。
しかし、沙耶の身長では足りず、つま先立ちになってロッドノエルはクロムウェルの額にキスをする。
魔皇妃の恩恵を受けたクロムウェルの体は輝きを放ちどこかへ消えた。
「へぇまだ余裕あるんじゃん」
サキの皮肉を相手にせずロッドノエルは僅かに口許を拭って
振り返り、邪魔が入ったな?
「さぁ二人だけの女子会といこうじゃないか!?」
大きな赤紫の焰を背中から翼のように噴き上げて魔皇妃の宴は始まった。
マズい!アレは本気や!
あんなんウチに勝てるワケないやんか!
「どうした?勇者、なんだろ?」
_勇者である前にJCだよ!
そして何その見下した感たっぷりの表情。
すんげームカつくんですけど?
あぁアレか罠ね?
ウチを挑発してかかってこさせようっていう。
それもう勇者じゃなくない?
_ノッてみるか?
できるかどうかは問題じゃない。
大事なのは、
「やるかやらないかだ!」
可奈ちゃんに合流した時、役に立たないんじゃ意味ないしね。
今街中に魔物がうろうろしてるのはきっとコイツのせいもあるだろうし、ついでに魔物を倒しながら来ておいて正解だった。
_いや、何これ!
今でも街の人達の悲鳴が
_可奈ちゃん助けて!
勇者カナじゃなくてごめん。
_死にたくないよ!
ごびりついて離れない。
でも、おかげでレベルはそこそこ上がった。
友達は助けたし、中堅クラスも何人か倒しておいたからとりあえずはこれで何とか、、、無理かな。
魔皇妃も肆魔将もまだいるしな。
_やっぱ本拠地を叩かないとな。
_剣道部主将ナメんなよ?
真剣握ったのは初めてだけど、基本は変わらないはず。
竹刀より重、、、くない?何で!?
基本は鉄、、だと思う。でできている剣なのに重さをまるで感じなかった。
それを面、胴、小手の位置を狙って打っていく。
太刀筋は少し変えた。
それでも、
_スラスラ避けよってからにムカつくなぁ。
姿は沙耶ちゃんだ。
でも中身が魔族だから。
_違う。沙耶ちゃんはこんなヤな顔しない。
根拠はないがそう思いたかった。
スピードなどではなく、単純にレベル、技術が関係しているんだと思う。
たぶんコイツはラスボスクラスなんで、ここで倒すことはできないはず。
ザンッザッザシュッ
そのわりにはちょくちょく大きいのもらってるよね?ロッドノエルだっけ?
大丈夫だよね?沙耶ちゃんごと死んだりしないよね?
死なないと思いたい。
_イベント戦だもん。
言っちゃった。
「なかなかやるな。生まれたてとはいえ勇者だけのことはある」
赤紫の焰に少しばかり揺らぎが生じた。
_大丈夫。大丈夫。
_イベント。イベント。
言い聞かせながら最後の一閃。
キランッ
何今の!?
何か光った!
あぁあぁザックリいっちゃった。
クロムウェルさん、沙耶ちゃんごめんね?
魔皇妃は沙耶ちゃんの体を間借りしているため、画的には同級生同士のとこを想像して貰えると助かります。
引き続き、カナかなクロニクル リペアをお楽しみ下さい。