第弐拾弐幕:再戦そして
ザクッザクッザクッ
ところで、少し前から私達の他に魔物じゃない足音がする。
_後ろ数m。
_足音が軽いな、女か?
レベル差のためかクロエには聞こえていないらしい。
咄嗟に私はクロエの暗器をスッて後ろに投げた。
カンッカンッ
硬い音が盛大に響く。
_弾かれた!?
「危ないなぁ」
グラムフェルトはベリーショートの黒髪をかき上げて近づいてくる。
_姿が、、元に戻ってる。
「私も引き下がってらんないのよ」
貴女を殺すまではッ!とグラムフェルトが残りの距離を一気に詰めてきた!
キンッ
「ッせぇな。人の後ろで。こっちは仲間助けにいくので手一杯なんだよ!」
「それは残念ね?でも貴方に手間はとらせないわ。
そっちは仲間に集中してくれていいわよ?」
「気に入らねぇな。そのお前には関係ないっていう目」
あ、何かクロエに火ぃつけたっぽい。
気をつけて。たぶんキミじゃ勝てないよ?
さっき戦った時より本腰を入れているように私には感じた。
「クロエ!クリューをお願い!」
言いながら呪紋を発動して、短期決戦を挑む。
あれからそれなりに時間は経っている。
体の疲れも、、まぁとれた。
_イケるか?
咄嗟にやったわりには意外なほどすんなりいった。
髪の色が変わるのと、体が浮くような感覚は同時だった。
「クロエ、クリューを連れてきて。
クリューとはまだ知り合ったばっかだけど、何かわかる気がするの。もしクロエの言う通りなら私、説得してみたい!だから」
思った以上の返答だったのかクロエは、一度驚くような表情を見せてから
「あぁわかった!約束だぜ?」
グラムフェルトはいやらしい笑みを浮かべて、
「妬けるわね。邪魔しちゃおうかしら」
周囲の魔素がグラムフェルトを包み吹雪となってその全身を凍らせていく。
次いで辺り一面が凍り果てて、その姿も見る間に大きくなっていく。
_目が青い?
変身の手順も違うし、やっぱ本気なのかな。
冷たい汗が背中を伝う。錯覚がした。
「それまでに貴女を倒せばいいのね?」
「やれるものならね?」
私も負けずに巨大な銀糸龍となった彼女を見上げて、挑戦的に嘲笑ってみせた。
次回勇者カナvs肆魔将グラムフェルト再戦決着。