第弐拾壱幕:イベント介入<輝石の試練>
中は意外に明るかった。
鍾乳洞のような洞窟には照明の類はなく、石そのものが発光して辺りを照らしていた。
それでも行き渡らない部分は洞窟のソーマが飛び交う粒子となって補正してくれていた。
_蛍みたい。
「あぁ、それが魔素だ」
私を見ないで教えてくれるクロエ。
視線はタブレットに釘付けになったままだ。
空気を察して私は、
「クリューを早く探さないとね」
努めて明るい声で私は言ったが、
いや、その前にやることがあるぜ?
とやんわり断られ、すぐには向かわない旨を私に伝えてくれる。
やること?って何?
回り道をして、いくつかの仕組みを動かすことと、戻ってボスを倒すこと、それからクリューだな。
俺達にとっては輝石の試練は関係ないからな?
そりゃそうかもしれないけど、放っておくワケには、、、
渋る私に構わず、クロエはタブレットを構えてズンズン先へ行ってしまう。
_ちょ、ちょっと!?
幸いクロエの姿を見失うことはなかった。
まるで、知った道を行くようにさくさく歩いていくクロエに何とか追いつきながら、
_何で皆タブレット持ってるとスピード上がるの?
そんなことを考えていた。
ポチ
ポチ
ポチ
「あと三ヶ所だ。急ぐぜ?」
別に鎧とかそんな重いものは着込んでいないので、まだマシだが疲れはする。
洞窟の中はこれもソーマの影響なのか、涼しく快適だった。
近くには小川も流れていて、特に何もしなければ環境はいいのだ。
走るような速度で歩かなければ。
「何でそんな急ぐの?」
たまらず聞くと
「クリューが心配だから」
_クロエ?
クリューのことを心配してくれてるんだ。
「アイツまだしこり残してただろ?だからさ」
早く行ってやんないと今度はホントに、、、身内同士でそんなことさせるワケにはいかないだろ?
どうせまだ納得できてないんだ。
どうせ輝石の勇者だって仕方なくやらされてるに決まってる。
「なら、早く行ってやんないと」
有り難かった。
涙が出るほど嬉しかった。
クリューをそこまでわかってくれてるなんて。
「クロエ。ありがとう」
口をついて、とはこのことだった。
自分じゃ言ったつもりはなかった。
「あ?別にお前関係ねぇだろ?」
言われてみればそうだ。
血のつながりどころか、世界すら違う。
_生粋のファーリア人だもんね。
はい。今どこにいるか定期的に確認しておきます。
カナとクロエはクリューを含む輝石メンバーを追って輝石の龍の中にいます。
クロエは意外なほどクリューの心配をしていて、さくさく先へ進んでいきます。
そんな中、
次回、勇者しか入れない龍石の中追ってきたただの人間?グラムフェルトと戦います。