第弐拾幕:ソーマブリンガー
「さてと、いくか」
振り向き様にクロエが言った。
_まさか。
放っていくの!?
「まさか?」
そうじゃねぇよ。
「俺達も、だよ」
輝石の試練じゃないの?
ふぅ。
「お前ホント何も知らねぇのな?」
呆れたようにクロエが言った。
異世界の予備知識なんてあるワケないじゃん!
「でも、察することはできるだろ?」
どうやって?
「大体ゲームじゃこうなるな?とか」
他にもイベントじゃなくても調べたら意外に入れたり、、、
「クリューが言ったろ?確かめもせずに諦めんなって」
そうだ。
あのクリューが力いっぱい言ったことじゃないか。
_私もしっかりしなきゃな。
「んじゃまず、、、」
くにゅ
うぅえ?ちょ、ちょっとクロエ!?
「ん。ソーマの流れに滞りはないみてぇだな?」
クロエは私の胸を掴、、揉んだ!間違いなく揉んだよ今のは!
ソーマがどうしたって!?
事と次第によってはキレるよ!?
私もキミの体も!
胴体サヨナラを実行するよ?
「あぁスマン。別に揉みたかったワケじゃねぇんだ」
ふざけんな!?
揉みたくもないのにセクハラすんなよ!?
「確かめておきたいことがあって」
リンパ腺って知ってるか?
「知ってるよ」
_そこにあるのは乳腺だけどね?
我知らず沈んだ声になった私にクロエは慌てて、
「この世界は魔素とソーマによって成り立っている。
そして生き物は大地のソーマを食し、空気中に魔素として排出していく。その仕組みを」
「ソーマブリンガーという」
龍の像が引き継いだ。
「全身の気がソーマブリンガーを伝って行き渡る時、より高純度の魔法を行使することができると云われておる。特にそれは女性の、、、」
胸なのね?何かわかった気がした。
女性の胸はそういうスピリチュアルな力があるとかないとか、、、
_生命の神秘だもん。
恥ずかしいことじゃない、はずなんだけどどうしてこんなに体も心も熱いの?
トクン、トクン、トクン
やだ何コレ?どっきどきしてきた!
「ごめんな?」
普段ちゃっきちゃきのクロエがそんな殊勝な態度を見せるもんだからつい私も、
「うぅん。別に」
赤くなってどーすんの私!
そういう番組じゃないんだからね?
そして私も何でツンデレなんだ。
「それより」
「汝、輝石に導かれし者か?」
クロエが私の手をひったくって、
『はい』
少しブレたタイミングで言った私達を
「承知した。ではこれより輝石の勇者の試練に付き合ってもらう」
快く龍石晶は受け入れてくれた。
ここで追記、輝石の試練にいく前にクリューはクロエにタブレットを預けています。