第2話
その子の背は俺の肩くらいだったがたぶん俺と年は近いだろう。
肩まで伸びた銀髪が動いた反動だったり、風に揺れたりで右へ左へ揺れ動く。
少女が目の前に来た時は少しばかり驚いていた。
肩まで伸びた銀髪
見ていると吸い込まれてしまいそうな青い瞳
「大丈夫?
あと少し遅ければ大変なことになっちゃってたけど?」
透き通るような声も気になった。
「………へっ?
あ、あぁ、大丈夫。この通り無傷だよ。ありがとう。」
礼を言いながら彼女の発言に疑問を持った。
「大変なことになっちゃってた。」確かに彼女はそう言った。
大変なことを考えてみる。
・彼女が来なければ今頃、アレにお持ち帰りされていた
・巣にお持ち帰りされたらそこにはアレの子供が5〜6匹
・アレの家族が皆仲良く夜ご飯で俺を分けて食べる
・結果=俺は骨だけになり誰かが見つけても
「返事がない、ただのしかばねのようだ」になる。
ゾワッ
少し考えただけでも全身に鳥肌がたつ。
「た、助けてくれてありがとう。
俺はキョウヤ、君の名前は?」
笑顔で自己紹介をしてみる。
やはり最初の印象は必要だからね。
「私はエルトリア、長いからエアで良いわ。
それにしても、君ってなんか変ね?
何にも持ってないみたいだし、もしかして………」
軽ーく疑問を抱かれているようです。
って、エアさん得物に手をかけないでくれぇ!!
5分後、エアさんをとりあえず説得して俺の話しを聞いてもらったあと、彼女は顎に手を添え、何かを考え込んでいた。
「………まさか、…………でも、可能性はあるわね。
よしっ!!」
「考えは纏まった?なんかぶつぶつ言ってたけどさ?」
「えぇ、とりあえずあなたにはこれから私と一緒に私の村まで来てもらうわ。良いわね?」
「右も左も分からない状況で賛成しとかなきゃ俺の残機が99あっても足りない感じだよね。
喜んでOKさせて貰います。」
もしさっきのアレみたいなのが出てきたら俺は確実にアウトだろうしね。
「良かった。
だけど丸腰じゃあ危ないわよね。
君って剣は使える?」
「体育の剣道で合計4〜6時間振ってた程度だけど。
竹刀程度の重さならだけどさ。」
とは言ったもののやったのは去年の学期始まり位だし、身体が覚えてる可能性は少ない。
しかも、初心者がやらされたのは素振りだけで立ち回りなどはやらされた記憶もない。
「シナイがどのくらいの重さかは知らないけれど、大丈夫。あなたに渡すのはこの世界で一番軽い鉄で打たれたこの剣だから。」
そう言いながら彼女が荷物袋らしき袋から取り出したのは両刃剣だった。長さはだいたい65〜75位だろうか。
鞘に入っていてよく分からないが鞘自体は淡い紺色でとても綺麗だ。
「その剣はスチールソードって言ってね、名前の通りスチール鉱石と言われるとても軽くて丈夫な鉄を加工して作られてるの。
まっ、それでも簡単に刃こぼれしちゃうから使いにくいわね。」
受け取ったスチールソードからは少しの重量感が伝わってくる。だいたい2キロくらいか。
それをベルトに差し、いつでも使える形しとく。
「これで良いのかな?まぁ良いか。
それじゃあエアさんの村に、出発!!」
「あ、言い忘れてたけど私の村、ここから少し歩くわよ?」
「少しって言っても2〜3時間くらいでしょ?大丈夫だって。」
「それが、3日ほど歩くのよね。もう一回聞くけど、大丈夫?」
それを聞いた瞬間、時が止まった感じがした。
進もうとして前に出した右足も空中で止まってる。
「あの〜、今なんて?」
「だからね、私の村はここから3日かかる場所にあるのよ。だけど、村に着いたら村中で大歓迎よ。」