if story 決戦 ⑦
ボディ子から連絡が来る。舞は移動したらしい。浮津が迎えに来ないので、3次会に参加。手筈通り、場所はカラオケみたいだ。
人数は全員で7人。この人数でパーティールームに入ってるらしい。
俺とアイシャと流星は、その部屋の扉を開けて入る。
かかっていた音楽は、ボディ子によって停止された。
「やぁみなさん。楽しんでますか?」
「え?笠井先輩?」
「晴人・・・」
舞の反応が気になるが、まぁいい。俺はせっせと部屋にあったテレビに携帯をつなぐ。
「ちょっと!いきなり何するんですか!?」
女子の一人が怒り出すが、気にしない。
俺はテーブルに置いてあったマイクを取る。
「みなさん、今からおもしろいものを見せますので、少々お待ちを」
俺はリモートアプリを起動し、それがテレビに映る。
画面に映ったのは浮津だ。
流星がスマホに向かって話す。
「こんばんは。そちら、舞の彼氏の浮津優さんで間違い無いですか?」
『あ、ああ。何だよこれ、そっちに誰かいるのか?』
「もし、正直に答えてくれたら、あなたを訴える話は無しにします。あなたは、彼氏がいると知りながら、栗原舞さんと泊まり、肉体関係を結びましたね?」
『この画面の相手は誰なんだ!そんなこと、言えるわけないだろ!』
「あれ?いいんですか?話してくれなければ、あなたは教師をやめなければならない。それでもいいんですか?」
浮津は画面の外をチラチラ見ている。
ウェルさん一人で浮津を脅しているのが俺らにはわかっているので、少しの間待つ。
『ああああ!くっそ!!!ああ、そうだよ!僕は彼氏いるってわかっていたけど、舞を抱いたよ!!』
「え?」
「なにこれぇ」
部屋から女子の声が聞こえて来る。
「でも、しょうがないんだって、僕、彼女なんていないし、最初に告白してきたのは舞だぞ?」
自己保身のために浮津が勝手にゲロり始める。
そこで俺はまたしゃべる。
「栗原舞さん、この人は、本当にあなたの彼氏ですか?」
「・・・違います」
ハッ。アイシャに頼ることもない。チェックメイトだ。
「そうですか。では、さっきからなかなかお迎えが来ない彼氏さんが心配ですよね?電話してみてください」
さぁ、逃げるか?認めるか?
「・・・さっきから何の話をしてるんですか?わたし、携帯の充電が切れてて、連絡できないんです」
そうはいかない。
「ここに、充電器があるので、充電しますか?」
ここでついに舞の顔が真っ青になる。
まだいくぞ。俺は流星に目で合図する。
『浮津さん、舞さんに電話してもらってもいいですか?』
「いやあああああ!!やめてぇぇぇぇ!!」
舞が発狂した。
舞の携帯に着信画面が映る。
『優ちゃん♡』という文字が出ている。
舞は力無く崩れ落ちた。
俺は舞の携帯画面を持って続ける。
「やっぱり二人は付き合っていたんですね。俺と付き合いながら、浮気をしていたなんて、最低ですね」
舞は顔を下げたまま頭を抱えて動かない。
「うわぁ・・・」
「先輩最低」
「信じられない」
俺は仕上げに取り掛かる。
「でも、みなさん安心してください。俺、笠井晴人はもっと可愛い彼女を見つけました。帰国子女のアイシャちゃんです」
アイシャは待ってましたと前に出る。ノリノリである。
「みなさん、ハルトは浮気されてひどく傷ついていたんです。わたしは、そんな彼を支えてきました。この女に復讐するために!」
ビシッと舞を指さすアイシャ。うん、ノリノリである。
アイシャは続ける。
「謝ってください。あなたのしたことは、ハルトの心を殺したんです。人に教える立場の人間が、そのようなことをするなんて・・・いや、それ以前に、人としてどうなんですか?」
「先輩、どうなんですか?」
「気持ち悪い。嘘ついていたんですか?」
周りの反応が面白い。勝手に盛り上がってくれる。
入り口はガッチリ流星がガードしてるから、逃げ出せない。
舞はそのまま床に膝をつき、手をついて丸くなってしまった。
絞り出すような、掠れ声が聞こえる。
「ごめん・・・なさい・・・」
ふぅあああ!!!
お待たせしました!
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