ちょび幕間 another story ボディ子とアイシャ
猫耳キャラと言ったらわたしだろう。そう、わたししかない。異論は受け付けない。
どうも、ボディ子です。今日はカルカドールよりお送りします。いやぁ、天気良いですね。今日は月が見えますかね。
昨日はなぜか先輩に告白されて血を吸われる夢を見ました。きゃーん。
夢だからよくわからないのだけど、先輩のことを拒否ろうと思ったら自分の妄想の中でもできたはずです。できないってことは、やっぱり先輩のこと、血を吸われても良い関係くらいにはおもってるんじゃないでしょうか、と一応とぼけてみたりします。
とぼけるくらいは許してください。心を読まれるプレッシャーというのはわたしにもあります。だからこそ、恥ずかしがるくらい許されてもいいんじゃないですかね?
さて、北欧の喫茶店みたいなこの店にはもちろんコーヒーなどありませんが、今日は特別です。ハロウィンですから、お菓子を配ろうということになったわけです。
わたしは筋肉ボディ子の姿でクッキー1トン分を持ってきたのですが、流石に置く場所がないので、お店の入り口で停止中です。
「ボディ子さんのクッキーだぁ・・・おひとつだけ頂きますね?」
店から全身黒のコートと長い帽子を被った子が飛び出してきて、挨拶もせずにアルパカの形をしたクッキーをぱくり。
もぐもぐ、ぱくり
もぐもぐ、ぱくり
そう、この魔女に扮した金髪の子はアイシャちゃん。クッキーに伸びる手が止まらないようで、ほっぺたにクッキーのかけらをくっつけながら、目をキラキラさせて食べる。食べる。食べていくぅ。
あっという間に20枚くらい食べて、ハッと我に返ったアイシャちゃん。今度は顔を青くしてる。
「おいしすぎて・・・クッキーに逆らうことができませんでした・・・」
「おはよう、アイシャちゃん。今日のわたしのクッキーの味はどうかな?」
「バッチリです!」
グッと親指を立ててわたしを見上げるアイシャちゃんはかわいい。でも、わたしだって負けない。
今日はわたしが猫耳になっても怪しまれない日、だぞ!
わたしも猫耳美少女になりましょう。
しゅるしゅるしゅるりーん☆
猫耳低身長になったわたしとアイシャちゃんの顔の高さが同じになりました。
「ボディ子さんはコスプレしないんですか?」
「わたしは今日この姿を満喫するためにきたのさっ!」
今日はこの姿で先輩に猫耳触ってもらうんだもんっ!
サラサラの銀髪触ってもらうんだもんっ!
さて・・・王女様の反応は・・・?
ぶっすぅぅぅぅぅぅぅ。とアイシャちゃんはほっぺを膨らませてわたしに涙目。
「ボディ子さん、ひどいですよね?わたしが心読んでるってわかった上でおちょくってますよね?」
おちょくるなんて言葉、王女っぽくなくて年相応で好きッ。
ポコポコとわたしの両手に向かってパンチを繰り出してくるアイシャちゃん。
魔女と言われる者がわたし如きに心理戦で負けるとは・・・反応がかわいいから調子に乗っちゃうなぁ。
「そこまで言うなら、見せてください。あなたの覚悟を」
「へ?」
「もうあなたがハルト様と暮らしたがっているのはわかっているんですよ!?」
「うへぇ!?」
「こっちはもうその気なのです。いい加減引っ越してください」
「ひ、引っ越し!?どこに?」
「取られるとか取られないとかで悩むのは嫌です」
「ん?なんの話カナー?」
「わたしはもともと、ハーレムには理解があります。1%だけ」
「ほとんど理解ないよね!?99%拒否ってことでしょ!?」
「話を逸らさないでください!わたしは本気です!」
「うん、アイシャちゃんが本気で悩んでることはわかったよ」
だめだこの王女様、ヤンデレになる前になんとかしないと・・・
「あのね、アイシャ」
「はい」
「わたしは本当に、彼には幸せになってほしいと思ったんだ」
だからこそ一緒にいたし、必要としてくれたし。
「だけどハルトを実際救ったのはあなただよ、アイシャ」
わたしと一緒に行きましょう?なんて、言えなかった。
「わたしは今でこそ可愛くなった。自信がついた。もうどんな男でも寄ってくる。猫耳ならね」
だけど・・・
わたしがほんとに惹かれたのは・・・
continued next time