if story 決戦 ⑤
アイシャ視点です。
「僕に復讐?お嬢ちゃん、人違いではないかい?」
オーナーさんが口が軽くてすぐ優さんに話してしまいました。
浮津優さん、数学の教師みたいです。メガネに雑誌で見たお洒落な黒髪短髪パーマ、という清潔感のある方でした。
(面倒ごと持ち込むな。なんとかしろ)
オーナーさんの心の声はこんな感じです。
未成年だっていうのもバレてます。
目の前にホットココアが置かれました。
「あなたのお付き合いしてる栗原舞さんについてです」
「君は舞の知り合い?」
「笠井ハルト」
ピクッ。
優さんの顔が一瞬強張りました。
(なんで舞の元彼がでてくるんだ?)
かかりましたね。
「あなたは舞さんに彼氏がいると知りながら近づいた。違いますか?」
「何の話だ。君は誰だと聞いてるんだ」
(なんだこのガキ。笠井の妹?)
「わたしは皇新高校に転入予定の者です」
「うちの高校の生徒、になる子?」
「はい。少々貴校について調べさせて頂きました。すると貴方と舞さんについて悪い噂が」
「噂?」
「貴校の制服をデザインしているZeedualの靴を貴方達は高額転売している、というものです」
「!?」
(転売?まさか、あのカルカドールのやつか)
「一度か二度ではありませんよね?中古の商品を定期的に定価の二倍で。無名なのをいいことに、『限定、十年壊れないトラベラー向けの靴』という謳い文句でしたっけ?
さらに中古品が無くなったら買いに行かせてまで転売して。嫌がらせ以外の何者でもない。そこまでして稼ぎたいのか、と。あっ、高額転売の反復行為は信用失墜行為に当たりますので、貴方達は終わります」
「僕がそれをしてたとしても罪に問われることはない」
「へぇ」
思わず声が出ちゃいました。悪い女です、わたしも。
「今更転売やめても遅いですよ。Zeedualは貴校とのパートナーシップを打ち切るつもりです。罪は問われずとも、貴方達の名前は出しますので」
「何が、望みなんだ?」
優さん、声が震えてますね。もっと震えてください。
「栗原舞と別れなさい」
そして、
「わたしの彼氏に、謝れ!!!」
感想待ってます!!