if story 決戦 ②
ボディ子視点です。
ゼミの飲み会が始まってから1時間が経った。
養護教諭として働いている先輩の話を聞こうと、教員の卵たちは必死だった。ま、わたしもその卵なんですけれど。
だけど、だいぶお酒が入ってくるとみんな真面目な話に飽きてきて、恋愛トークで盛り上がってくる。
「先輩、彼氏とは同棲してるんですよね?秒読みですか?」
「笠井舞になるのはいつですか!?」
先輩と同棲してる話までゼミの後輩に言ってるのだから、この話が出るのは規定事項だ。
「あっ・・・その、別れたんだよね」
舞さんの思わぬ一言で周りが湧き立つ。
「えっ!?そんな・・・」
「舞さんを捨てるやつは誰じゃー!?」
「舞先輩捨てられたんですか?」
「笠井先輩さいあくしんじられなーい」
先輩の話を信じるならば、舞さんが先輩を振ったはずだ。
でも、ここにいる人たちはみんな、舞さんが振ったなんて微塵も思ってない。
そういうことする人だと思われてないから。
「えっと・・・そんな感じ・・・かな?」
本人は否定せず、ですか。まぁわたしも舞さんから直接聞いたわけではないのでここで異議を唱えるのはやめましょう。
多勢に無勢、わたしが違うと言ったら先輩に好意を持ってると思われてめんどくさいだけです。ええ、そうに決まってますとも。
「でもね、学校にいい先生がいてね、今付き合ってるの」
舞さんの一言でどっと会場が沸いた。
別れてすぐ付き合ったらアレだからわざと自分を可愛そうな立場にしたんですねわかります。
わたしは先輩を信じてますから。女なんてすぐ嘘つきますからお見通しです。
「さすが舞先輩っ!」
「俺が傷を癒してあげるよ、キラーン!」
「いいなー!わたしも先生方とラブラブしたーい」
「笠井先輩と別れて良かったですね!」
なんだかイライラしてきました。
「今の人とはちゃんと結婚考えてるの。2つ年上でね。大人っていうか・・・うん。かっこいい人」
先輩、頑張るって言ったのに、言ったのに・・・わたし切れそうです。助けてください。
嘘です。死んでも頑張ります。
「舞先輩良かったですねー。今日その人がお迎えとか来てたり?」
わたしは素早く質問を出す。一瞬、舞さんは怪訝そうな顔をしたけど答えてくれた。
「うん、危ないから迎えに行くって言われてるの」
「やさしー!」
「ちゃんと守ってくれる年上彼氏素敵ッ!」
「わたしも勉強ばっかりだけど恋したいなー」
「一次会で帰っちゃうんですか?」
あっ、誰かがわたしの聞きたいこと聞いてくれてる。
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