if story 決戦 ①
「ここがあの女のいる飲み屋ですね?」
そう言ってアイシャが物凄く悪い顔をしたような気がしたがスルーしよう。
決戦は金曜日とは歌にもあるように、週末の繁華街はせわしない。
「戦う前から気持ち悪い・・・」
「俺も・・・」
ボディ子は頭を抱えてるし、弟に関してはその場に座り込んでしまっている。
アイシャのハートリードがここら一帯に及んで情報を共有しているため、物凄い情報量が頭に入り込んでくる。
普通に、欲望のオンパレードだ。
お金が欲しい人、恋人が欲しい人、食べたい、飲みたい人、早く帰りたい人、
羨望、嫉妬、恐れ、殺意ーーー
「やっぱりわたしはいいです。アイシャちゃん、人の心読みながら話するの辛いから切ってね」
「わかりました。ごめんなさい、辛い思いをさせてしまって・・・」
「むしろアイシャちゃんが凄いよ。今まで良く頑張ったね」
すかさずアイシャの頭を撫で撫でするボディ子。
俺には二人が使役してるゴーレムと魔法使いに見える。
「じゃ、ゼミの飲み会行ってきます!先輩、わたし、多分凄い感情出すけど気にしないでね!お互い頑張ろうぜい!」
「無理するなよ。別に今日がダメでもまた次にうまくやればいいからな」
「ノンノン!今日で決めます!絶対です!大船に乗った気持ちでいてね!」
ボディ子は軽口を叩くが、気持ちが楽にはならなかった。切り込み役その1のボディ子の役目は重大だった。
舞が、ゼミの飲み会にいる。
その条件で俺たちのミッションはスタートするのだから。
結論から言うと、舞は飲み会に来た。
ボディ子をサテライトとしてボディ子の周りにいる人の感情がうねうねとこちらに入ってくる。
アイシャの魔法はレベルアップを続け、なんと会話まで聞こえるようになっていた。
ボディ子じゃない誰かの声が聞こえる。
「舞先輩って彼氏いますよね?結婚しないんですか!?」
あっ、これ辛いやつだ。
俺はアイシャに目線をやると、アイシャは魔法を切ってくれた。
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