長靴(ちょうか)職人の決意
ボディ子の一撃で発生した砂ぼこりが風に乗って俺とアイシャを覆って通り過ぎていく。
「ボディ子さん、わたしは・・・・・」
顔を埋めながら俺の胸をトン、と拳で叩くアイシャ。全然痛くないです。むしろかわいいです。
ここに来て、アイシャは知ってしまったんだと思う。自分がした事の重大さに。
そして迷っているんだろう。母親に会いたくなっているはずだ。
こんな時にこんな事を言う俺は卑怯かもしれない。
俺は物事を天秤にかけて選び取るのが大嫌いだ。
それをするとあの教師のようになってしまうと思うから。
だから、こんな時だからこそーーー
俺は俺の気持ちを信じる。
俺はアイシャの肩を抱く手に力を込めた。
「ーーーアイシャ」
金髪に視線を落とすと、顔を上げたアイシャ。その上目遣いの泣き顔が俺の視線を跳ね返してくる。
これはずるい、負ける。だが負けるわけにはいかない。
アイシャを救うのは、俺しかいない。
「えっとーーー」
口に出そうとする前にアイシャにふふっと笑われた。
「やっぱりハルト様、好きだなぁ」
「・・・言わせてくれよ」
ハートリーダーのせいで俺の心は筒抜けだ。
だが、構うもんか。俺は息を吸い込む。
「好きだ」
「わたしもです」
アイシャの手がそっと俺に頬に触れる。
「アイシャと離れ離れになるのは嫌だ」
「寂しがり屋なんですね」
そうだ、こんなどうしようもない俺を、どうかーーー
「ーーー俺を勇者にしてくれ」
アイシャが一瞬、泣いてるのか笑っているのか、嬉しいのか悲しいのか、よくわからない顔になる。
そうしているうちにアイシャの瞳に涙が溢れてきて、俯いてしまった。
「勇者の力は、ある意味、呪いです。ハルト様には、人を殺してほしくありません」
「じゃあ殺さなきゃいい、というわけにはいかないか。それはこれから俺が乗り越えればいいんじゃない?」
「わたしは、隣国から魔女と呼ばれています。それでも一緒にいてくれますか?」
「俺が勇者になるんだったら、釣り合いそうな奥さんは魔女くらいかなー」
「もうっ!本気で考えてるんですかっ!?」
「本気で考えてるよ。アイシャが一番わかってると思うけど?」
「むぅ〜〜〜!」
アイシャは涙目で頬っぺたを膨らまして抗議してくる。
「ちなみに、わたしはとっても嫉妬深いようです。こんなわたしを愛してくれますか?」
「ああ、大好きだ!!」
「そ・こ・は・愛してるって言ってください!」
「くおらーー!!!クソ自分勝手せんぱーい!イチャついてないで加勢してくださーーーい!!」
ボディ子に怒られた。
感想という燃料をたくさんくださいッ!
某球団が10連敗してメンタル破壊されているわたしにッ!どうか!!