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寝取られ後の幸せ  作者: とろにか
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プロローグ

ーーー若いうちからハッピーエンド確定の人生を夢見ていた。


俺の名前は笠井晴人。今、俺は大学時代から五年間付き合っていた彼女に別れを告げられていた。


俺の彼女は教員だ。教員採用試験を二年目で合格し、この春から教員になったばかりだ。そんな彼女が勤務してから一ヶ月で浮気をしたなどと信じられなかった。


相手は三歳年上の同じ教員らしい。


俺の職業?アパレル系とでも言っておこう。彼女との収入の差は二倍だ。


「お願い、別れて」


彼女、栗原舞はまっすぐな眼で俺を見ながら言う。


いや、浮気をしたのはそっちだろうと。だが、まるで俺が悪いみたいに彼女が見つめてくるのだ。


確かに彼女の両親からは反対されていた。具体的には、旦那の職業は公務員以外認めないと。俺がちゃんと勉強してそっちの道に行ければ、違っていたんだろう。


自分の全てをやんわりと否定されている気がした。日曜日しか休みが無くて、彼女に構ってやれなかったのも問題だったか。


「わかった」


一言で返した。


なんだか、ドラマを見ているような気持ちになる。惨めな気持ちを一旦頭から追い出す。すると、自分自身のことなのに、他人のことのように振る舞えた。俺も、最近は二年目で仕事が面白くなってきたところだった。・・・ということにしておこう。


寝取られたのは、俺が出張でいなかった時だろうか。


そこまで考えて、俺は怒りが湧いてきた。そして、もうこの場にいたくなくなった。


逃げるように俺は彼女のアパートを出た。








ーーー


入社二年目で店長になれた俺は、舞のことを忘れるくらい忙しかった。


店長と言っても給料はそのままだったけど。


そして店は俺一人で回さなければならない。他にヘルプに来てくれる人はいない。本社も人手不足で忙しそうだ。


日曜日に休みをくれる会社に、当初は疑問を持った。だが、仮に日曜日開店して、死ぬ程お客さんが来たら俺一人じゃ捌ききれない。それが一年下積みをやってみてわかったことなので、もう何も言わない。


十二時開店、午後八時閉店。その後は本社に戻ってTシャツに色を入れたり、ジーンズにダメージを入れたり、革靴を作ったりする。


そして五月末、秋物のアレンジのために深夜零時まで残ってた時だ。本社の外で社長の犬のドーベルマンのラッキーが吠えていた。


「なんだよ。珍しい」


誰もいない会社で呟くと、俺は近所迷惑になる前に急いで会社敷地内の犬小屋がある場所まで走る。


「ラッキー。なんだ?飯なら・・・」


俺は手にしていたスマホのライトで犬小屋を照らして言葉を失った。


金髪の女の子が目を見開きながらその蒼い瞳でこちらを見ていた。

















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