第8話 入学案内!?
「フランク王国の王都にある国立高等魔法学園へ入学されてはいかがでしょう」
エリスさんは私とルツの目を交互に見ながらにこやかに話を続ける。
「あそこは国立ですのでいかなる権力も簡単には介入できません。通っているのも10歳から18歳の子供達なので、ユーリさんとも年齢的に近いでしょう。幸いにして私が理事長を務めておりますし、多少の融通はききますよ」
「ーーー却下だ。まだ完全に傷も癒えていない状態でそんな人間共の通うところなど行かせられる訳がない。それにユーリーだって……」
「私行きたい!」
私が思わず立ち上がってそう言うと、ルツはぎょっとしたように私を見た。
「私、ずっと学校に行きたかったの! 前はお休みばかりで全然通えなくって、友達もあまりできなかったら……。だから学校に行けるなら絶対行きたい!」
「決まりですね」
エリスさんはそう言うと満面の笑みで微笑んだ。
そうかあ、この世界にも学校ってあるんだ! しかも魔法学校だよ? ハリー〇ッターみたい!
日本人だった時は病弱だったから小学校も中学も全然通えなかったし、友達もあんまりいなかったんだよね。もしかして親友とかできちゃったりとかするかな? 一緒にお弁当食べたりしてみたい! ……あ、この世界ってお弁当あるのかな? とにかく楽しみ!
私が思わずにやにやしてると、エリスさんは不機嫌そうに黙りこんでいるルツの横を通って私の前に来た。
「そうと決まれば色々用意をしなくてはいけませんね。まずは服をなんとかしましょう。いつまでもルツの服を着ていては色々不都合でしょう? ルーチェ、そこにいますか?」
そういえば私当然のようにルツの服を着てたよ! ルツの上着は長いから膝丈ワンピみたいで気にしてなかったけど、エリスさんはこれがルツの服だっすぐわかったのかな。うぅ、なんだか恥ずかしい……
急に恥ずかしくなった私が思わず下を向いてもじもじしていると、これまたとっても綺麗な女の子がやってきた。
えー、この世界の人って顔面偏差値高くない!? 淡い金髪でグリーンの瞳、これぞまさに儚げな美少女! っていう感じの女の子。
「ルーチェ、こちらはユーリ様です。ユーリ様に服と部屋の支度、あと湯あみの用意もお願いします」
「はい。ユーリ様、私はユーリ様のお世話をさせていただくルーチェと申します。よろしくお願いいたします」
「あ、はい、こちらこそ」
「それではこちらにおいで下さい」
ルーチェさんはにこにこしながらそう言うと、私の手を優しく取って取り歩き始めた。
私が部屋を出る時に振り返ってルツを見ると、ルツはこちらを見ようともしないで難しい顔をしたままずっと一点を見つめていた。
ここからしばらくルツのターンがはじまります。ルツの!ターン!