第3話 出会い
一気に!ばばんと!3話公開!
と格好よく決めたかったんですが、不慣れなものでわたわたしてます。
さくさく読めるよう、だいたい1話1000文字程度でまとめています。
気が付くと私は自分の寝床に横たわっていた。
いつもと同じ下草は柔らかく、辺りは暖かい光で満ちている。
どうして私はここにいるんだろう。重い頭を上げると少し離れた場所に黒く長い髪を無造作に垂らした男の人が立っていた。
「気が付いたか」
私がびくっと身体をすくめると、その人は表情を変えず黒い瞳でじっと私を見つめた。
「心配するな、何もしない」
私が何も言えずにただ見ていると、その人は頭を振ってうろから出ていき、しばらくすると手に果実や見たことのない獣を持って戻ってくる。
「食べろ」
何が起こっているかわからずぼうっと見ていると、その人は呆れたように私を見た。
「お前の手に刺さっていたナイフには呪がかかっていた。あのまま放置していれば呪はやがて全身を蝕みお前の自我を奪っていただろう。お前の体は今深く傷ついている。」
男の人は紫色をした獣を私の目の前に置いた。
「てっとり早く傷を治すのは魔物を食べ魔力を取り込むのが一番だ」
私は目の前で何が起こっているのかよくわからない。何を言っているかはっきり聞こえているのに内容が全く理解できない。「しゅ」って何? 魔力ってなんのこと? この気持ち悪いのを食べろっていうの? そもそもこの人は誰?
そこまで考えてはっとした。この人はこの世界で初めて話した人間で、私に縄をかけ矢をかけた人間と同じだということに。そう思ったとたん身体が震えるのが分かった。
「……あ、あなたは……?」
そこでその人は私が怯えていることに気が付いたらしい。
「怖がる必要はない。私はお前が呼んだから来たのだ」
「……私が呼んだ?」
「覚えていないのか?お前は助けを呼んだ。同胞の声はどこにいてもわかる」
「どうほうって……何?」
「同胞とは仲間のことだ。……? お前よく見せてみろ」
その人は目の前まで来て私の瞳を覗きこんだ。
「……ふむ、気が付かなかったが、お前は随分若いようだ」
少し表情が柔らかくなったその人は今度は果実を私の前に置く。
「若いというよりはまだ雛のようだな。獣がだめならこれを食べろ。世界樹ユグドラシルの実だ。獣の方が手っ取り早いが、これにも魔力がある」
私が恐る恐る果実に口つけると、その人はようやく口元を緩め、淡い微笑を浮かべた。
次回更新は明日以降、今後は1話ずつupしてまいりますのでよろしくお願いします。