第1話 目覚め
私は小さい頃から体が弱かった。
生まれた時には1歳までもたないとお医者様から言われたらしいけれど、なんとか14歳のお誕生日をむかえられた。その日は家族4人で盛大にお祝いした。
学校は休みがちでほとんど行けなかったけど、それでも学校で過ごす時間は楽しかった。そして15歳になる前、私は学校にも行けなくなって、今はずっと病院にいる。
少しづつ抜けていく力、重く、昏い眠りへの誘い。自分でもわかる。もう終わりが近いんだって。
……ごめんね、お父さん、お母さん、お兄ちゃん……
薄れていく意識の中で何とか目を開けて私の手を握る両親の顔を見る。ふと後ろの窓を白い鳥が横切るのが見えた。
……私、空をとんでみたかったな……
いつからかわからないけど、私は何か暖かい物に包まれている。それはとても暖かく、柔らかくて優しい。
とっても気持ちいいからもうちょっとこのまま寝かせて……と、そこまで考えて目が覚めた。
そういえば私病院にいたんじゃなかったっけ?
でもすぐに気が付く。ああ、私は死んだんだ。今の私はまた違う生なんだって。
周りを見ようとしたけど、視界はうすくぼんやりとしていてはっきりした色がわからない。まるで目に何か付いてるみたいで、それを取ろうと手を動かそうとしたら、
パキン
急に視界が開けた。
溢れ出るまぶしい光と鮮やかな色彩、鼻をくすぐる深り森の香り、優しく頬を撫でる風。
びっくりしていると目の前に色とりどりの小鳥が降りてきた。
「オメデトウ! オメデトウ!」
「マッテタノ ズットウマレルノマッテタ」
「……私の事?」
「ソウ タマゴズットミテタ」
「ミンナマッテタンダヨー」
「どうして私を待っててくれたの?」
「ダッテアナタハタイセツダカラ」
「ダイジ! ダイジ!」
「リュウダヨ! ヒサシブリニリュウガウマレタヨ!」
リュウ? リュウってなんだろう? リュウ? りゅう? もしかして竜のこと? っていうことは私は竜になったのかあ!
改めて自分の体を見てみる。
白くきらきら光る鱗に覆われた体。爪はかっこよく尖ってて、背中には大きな翼がある。身体を動かすと長い尻尾も見えた。
「ふわー」
鱗が光に反射するのが面白くて羽を光にかざしてみる。
「キレイ、キレイネ」
「マッテタ! マッテタ!」
「ウレシイ! ミンナウレシイノ!」
色とりどりの小鳥たちが私の周りをまるで踊るように飛んでいる。
「うん! ありがとう! 私も嬉しい!」
私は小鳥たちにむかってとびっきりの笑顔を向けた。
これからよろしくね! 私の新しいお友達!