終わらないの。
のばしても、のばしても。その先にいる君には届かない。
どんなに早く足を動かしても、君との距離は縮まるばかりか離れていく。
広げた手の向こう側。
小さくなった君の背中。
あと少し?
いやいや、ずっと向こう。
森を抜けた崖の上。
ほら、君はまたそこから落ちるんでしょう?
そしてはるか後方から君を追う私に、その行動を止める術はない。
止める術がないから追いかけて、迷わず私も崖の下に飛び込むの。
風を切って湖に、私の体は落ちていく。君の姿は見えないの。
しずむしずむ私の体。このままどれだけたっただろう。
でも、浮かび上がった時にはもう遅い。
湖なんかじゃない、水たまりに浅く浸かった私の体。
そしてまた、水面にうつるのは私だけ。
「どうしてっ!」
何百回と繰り返される運命は、未だ変わらない。