傘の下
傘の下なら安心でした
私を私と知られないで
傘に守られてゆく道は
悪くありません
豆をぶち当てられたような
音のなかで
私は
泣くことも怒ることも
笑うこともできて
どちらでもない気分だと
もったいなくて
雨が降っていても
傘を閉じてしまうのです
雨にぬれながら
傘を閉じて歩くと
人の視線にもぬれて
恥ずかしくなると
再び傘をさすのです
傘をさす意味はもう
どこにもないのに
豆をぶち当てられたような
音のなかで
私は泣きました
傘は私を変わらず
守ってくれました