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水母
千々の水は、磨耗した魂である。流入し、撹拌され、砕けあい、いまだ海は飽和しない。それでもなお、共鳴する孤独が、緩やかで流線的な、ぼやけた輪郭を描くのである。見よ。水母を。深淵から来訪する、透明な、この生物を。水母は流れを受けながし、揺蕩う。水母に暴かれるものはない。ただ擦り切れるのみの機構である。戻る道はない。進む道も定まらない。それでも水母は止まらない。千々に乱れようと、水母とは小さな孤島である。大いなる海。その深き谷に、風化するよう、水母は還る。
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