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鋼になった冬
泣きそうな人は鳥になる
凍える服を火にくべて
台所で不貞くされる蛇口と
あかぎれた指で雲を編むけれど
いじわるな風が邪魔するのは
しかたのないことだ
電車の扉にギロチンされて
風はみんな不具になった
線路に足がよこぎる
横断歩道を踏みつける
土を蹴ってすれ違う
風景に曇る窓がさよならをする
人が記号につながれる朝
中央改札の一歩前で
鋼になった冬がひっかかる
拾われるでもなく
遺失届はすられている
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