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詩集<独白>  作者: インジュン
詩編(1)
57/95

誕生

初稿。

天が衛星に屈して久しい。

ヘヴン、高天ヶ原

オリムポス、ユグドラシルの頂

永遠を謳ふ数多の楽園は、

かの銀光に怯えてしまつたか、

ちつとも姿をみせない。

かといつて、灼熱の祈りを

しずめる奇跡ともならない。


そのきざしは数世紀前から

地に遣わされていたと言ふ予言者らは

居間を賑わす生業にうらぶるれる。

ある民話曰く黄昏とは神の血である。

黄金の青鷺と鳩の雲はいずこに飛ぶ、

見よ、あれこそが黄昏である、と

叫んだのは誰の声であつたか。

ヤドリギの聖者であつたか。


とにもかくにも神の雄叫びばかり

地上に残されてしまつた!

旗の影よりほか、神々の遺物はなし。

しかし、あなた方の子ら、あゝ、

あなた方の遺児を憐れみ給へ、

あなた方の面子と意地と教えによつて

今日も目を煤で覆われた子羊たちが、

親と恋人と蛇とをあやまつのです!


世界が惑星に落とされ久しい。

ここはあまりに狭すぎるのだ。

機械の天使らがそこいらで、

善く生きよ、善く生きよ、と喧しい。

反響といふものを考えやうとする

素ぶりなどまつたく見当たらない。

二進数のトロンボォンから時が流れ、

わたしの前で破水したひとりのおんな。


臍の緒つけた胎子らへ電子の翼が微笑み

善く生きよ、善く生きよ、善く生きよ、

福音により嬰児の眼は開かれた!

これすなわちencyclopaediaの威光!

もはやわれらに水面をたどる魂はなく、

羽虫や闇、錆と交合する性器を去勢され、

われら、言葉の家畜に甘んじて久しい。

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