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畜生
明日誰かを貪る口で
尻軽女は春を求めて
客入り絶えて久しい
占い師が金をせびり
物欲し気に私を見る
ホームレスとカラス
求められる物はみな
全てめぐんでやった
あとを濁さぬように
古くからの諺どおり
もっとも奴らは食い
散かすに違いないが
まず女が私の装飾を
身ぐるみ剥ぎ取った
次に占い師が頭部を
良い形じゃと捥いだ
私を啄ばむカラスを
ホームレスが食った
服がなくば通れぬと
私の瞳を覗き込んで
しきりに頷いている
かの奪衣婆に言われ
ならば仕様がないと
じつと奴らをまった
「四人と一匹が揃うに
時間はかからなんだ」