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知れば知るほど
色の名前を知れば
日常により彩りがふえた。
胸焦がす感情をしれば
目をあわせられなくなった。
知れば知るほど
僕は大きくなっていくはずだった。
難しい言葉をしればしるほど
己が蒙昧さがのしかかってきた。
言葉はまるでおもしのようだと思った。
心が愚鈍になっていくように思った。
知れば知るほど
僕は臆病になっていくようだった。
了解した。僕は了解した。
人が棒をふりかざすか、
それか言葉を投げることしかできない
その悲しい性の、理由について。
知れば知るほど
僕とセカイは隔てられていく。
ときどき抱き合って、擦りつけ合っても
自分が消えてしまうことが
本当はみんな怖いのだ。
だから賢いセンセーは名言を残す。
知れば知るほど
どうやら未練たらしくなるらしい。
五月投稿分。