表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
詩集<独白>  作者: インジュン
詩編(1)
40/95

道化は氷のなかに

ここにいるよと

生傷はケロイド状に腫れていて、

金のメッキがどろりとしていたから、

僕は体にこれでもかとぶち撒けていた。


僕は慰められるほど

あたまものろかったので、

かさぶたを赤黒くかたまったまま、

はがし忘れていたことを思いだした。


なんとかはいそげと

温度計が零下をさす水風呂へ、

えいやととびこんでみたはいいが、

とたんに軋む音に足は閉じこめられた。


足掻いてはみたけれど

氷はうんともすんとも言わないで、

浴室の光をあぶらのように反射した、

垂れだしたメッキはあかく滲んでいた。


満足して僕はかりかりと爪でかさぶたをえぐったあとに針のように冷たい金色をゆびですくってキャハハとうるさいクラスメイトの女子の仕草のように傷口にぬりこんで下をむいた。にこりと歪な道化がいた。


――あ、僕


そして死んだ。

こおりのなかで。

二月予約投稿分。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ