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トルソを求めて
君は 僕が愛すには
みにくすぎるが
心臓が清く正しく
律動しているからこそ
肋骨はゆるりと弧をえがき
白磁の乳房はしとやかに張っている
歪んだ四肢なんて
歪な頭蓋なんて
君にはいらないのだ
白く滑らかな胴体は
ヒトには閉ざされた美を
宿しているのだから
余分にはみだした
節くれだった肉の枝を切ろう
滴り零れた赤い血筋を
君のマチエールとする
なににも穢されぬように
君の血だけが君のマチエール
赤黒く凝固し、沈黙に佇む君の
その前で、僕は君の頭を焼き
手足を炎にくべて
湧きあがる煙を捧げよう
そうして君はようやく一つになる
欠けることなき完結された像になる
だから僕は君を愛す
君の胴体を愛す
その白さはおぞましさの底で眠り
それでもしとやかさは確かにあって
いまだ一つの旋律は僕の耳で響いている
だから、胴体を、愛す