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優しさ
世の様に揺蕩う色と形の雲に問うた
揺らぎの意味をなぜ探すのか、と
澄み渡る水鏡を撫で通る風に問うた
境界なき沈黙をなぜ破るのか、と
幾億年の重みに燃ゆる太陽に問うた
光の鼓動はなぜ降り注ぐのか、と
群れ積もる塵達を許す大地に問うた
無言の中なぜ耐え続けるのか、と
そうして私に全てが、底に眠る
砂の一粒までもが問い返す
お前どうして答えを求むのか、と
返しは無い、それが全てなのだ
意義や理由を求めすぎた
あたまでっかちな猿を
風は背中を押し、雲は寸劇を見せ
日と影は踊り、大地は支えて答え
世界は優しく包み込んでいる
だから私は、今を生きている