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詩
詩が、私の書いた詩が
尊きものでも卑しいものでも
ないことや、容易く書けたことに
さえ、私は悶えた(あるいは 涙)
互いの青を認めた海と空や
そよぐ風、揺れる夕焼けに
断末魔の交差する戦場や
倒れ臥す幼児、鷲の行く先に
私はただ詩を紡ぐだけだったのだ
紡ぐ、だけだったのだ
色彩と協和音、感触より深く潜り
しばし虚脱に耽りて
私は無と言葉のみの世界にいた
ありとあらゆる奔流(1と0)に
おぼ、れるの、は、だぁれ?
……それは私では無かった
固定化された観念と
定式化した反応に
私は象られている(心も想いも)
だから言葉に溺れず、もがかず
私は詩を紡いでいる、
紡いでしまえる
私は重ねる 白紙の上に
生き恥を、やがての白恥を
隠さず、隠せずに、この詩の中
それが何よりも悲しく
それでさえも私自身であると
そう思えたとき、ただ溜め息をした
それ以外に、何も無かったのだ
そして、私は初めて言葉を忘れた……




