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没後
人が、やがて朽ちるとき
ただ空気と色のみが残る
そして
辿ってきた足跡の星座を
まだ、無垢な赤子が
小さな手足で通っていくのだ
枯葉が、そよ風に囁いたとき
まだ史書に光が宿って見えた
けれど
綴られてきた言葉らの星雲は
ただ、血と疑惑と硝煙の
美化された輝きを騙っていたのだ
そして、果てしない連続の果てに
灰と合金と墓石が、辞書を
呑み乾す朝日を確かに迎えた
正午を翼に詩人は、長い
長い安息日を 平らな球面の上
声高々に燃え尽きていった
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