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道を違えて婚約破棄に至る

作者: 小説の織部
掲載日:2026/10/27

 ロバート王太子とマリエール公爵令嬢は仲の良い婚約者同士だった。二人は冒険者になって冒険した。ある日冒険者を辞めろと言われて道を違えた。

          

 王太子のロバートは、婚約者の公爵令嬢マリエールと剣術の訓練に励む。二人の腕は互角だ。王族や高位貴族がやる事じゃないと良く言われる。しかし二人には夢がある。

「12歳になったら二人で冒険者登録して悪い魔獣を討伐して国民を守りたい。そのために僕達は剣術と魔法の訓練に励もう。」

国王陛下も公爵も二人が剣術や魔法の訓練をすることに反対しなかった。そればかりかコーチもつけてくれた。12歳になって冒険者になることも認めてくれた。強いメンバーと一緒に冒険した。剣術も魔法も上達してダンジョンにも潜った。剣術は互角だが、魔法は圧倒的にマリエールが才能がある。多種多様な強力な魔法を巧みに使いこなす。

 13歳になり国王陛下と公爵は、

「そろそろ、王太子と王太子妃として教育が必要だ。剣術や魔法の訓練はやめて、教育に励みなさい。」

ロバートはマリエールに、

「仕方ないよ。王太子と王太子妃なんだもの。冒険は楽しかったけれど、それだけでは我々は許さられないさ。冒険者はこれで廃業だ。これまで付き合ってくれてありがとう。今日からは王太子と王太子妃として一緒に頑張ろう。」

マリエールは冒険者を諦めるつもりはない。

「私は諦めが悪い女なの。国王陛下や公爵に相談して婚約を解消してもらうわ。これからも冒険者として生きるわ。あなたは王太子として役割を果たして頂戴。なんなら私の妹のロザリアと婚約しても構わないわ。とにかくあなたは私の気持ちを国王陛下に伝えて、私は公爵閣下と相談するわ。どうしても駄目だというなら家出するだけよ。」

苛烈な女だ。確かにあれほどの魔法があるなら冒険者としてやっていけるだろう。ロバートしてはマリエールの気持ちを尊重するだけだ。

 ロバートは国王陛下に謁見を求めた。明日の午前10時に王室で予約が取れた。王室に出掛けると宰相もいた。国王陛下は警戒している様子だ。ロバートが冒険者を続けたいと言い出さないか心配しているのかも知れない。ロバートは、

「国王陛下、僕は冒険者を続けたいなどというつもりはありません。ご安心下さい。王太子、国王となるための研鑽を積むつもりです。今日はマリエールのことでまいりました。マリエールは冒険者を続けたいそうです。僕との婚約を解消したいと言ってきました。なんなら妹のロザリアと婚約しても構わないそうです。僕はマリエールの望んだ通りにしたいと思っています。なにとぞマリエールとの婚約を解消して下さい。お願いします。」

国王陛下はロバートと宰相の顔を眺め、

「それは難しい話しだ。マリエールに一方的に婚約破棄されたら王太子の威厳に傷がつくし、話し合いの結果、婚約を解消すると言っても事が事だけに王太子妃よりも冒険者の方が魅力があることになってしまう。マリエールの妹ロザリアがどんな女性か判らないが直接会って自分の婚約者に相応しいかどうか確かめなさい。マリエールのことは公爵と話す。」

国王陛下はロバートと話をして安心したようだ。宰相が、

「ロザリア令嬢のことですが、マリエール令嬢と共に美人姉妹と言われます。才色兼備の才気あふれる優秀な方と伺っています。気立てが良く家事や裁縫、刺繍、楽器演奏が得意と伺っています。きっとロバート様とお似合いのカップルになると存じあげます。」

国王陛下は取り敢えず公爵を呼ぶことにした。

 公爵との話し合いにはロバートも立ち会った。先ず公爵が詫びた。

「マリエールが大変ご迷惑をおかけしております。先日ロバート殿下との婚約を解消して冒険者になると言ってきました。勿論認めておりませんが、ロバート殿下には認めて頂いたと言っております。そんな戯言殿下が仰るはずがないと言いました。娘は家出してやるとぬかします。こんな状態では婚約を解消して頂くしかないと存じます。」

国王陛下はマリエールの妹ロザリアのことを聞いた。

「ロザリアはマリエールとは正反対です。おっとりした性格で楽器演奏、裁縫、刺繍が得意で親の欲目かも知れませんが器量良しです。勉強はできる方です。陛下や殿下のお眼鏡に叶うなら是非王太子妃にお召し下さい。」

国王陛下は公爵に、

「マリエールとロバートとの婚約は解消するしかないと思っている。どんな方法で婚約解消するか決めかねている。次の婚約者としてロザリアがいいのか他の候補がいいのか慎重に検討しなければならない。次の婚約者を決めて婚約解消の方法を決めた上で婚約解消するものとする。マリエールの冒険者活動は認めよう。ただし婚約解消の時本人がいる必要があるかも知れない。冒険者活動するにしても屋敷から通うように厳命せよ。ロザリアにも一度会う必要がある。予約を取って会いに来なさい。」

マリエールは公爵閣下にロバート殿下との婚約解消の件を伝えて以来冒険者活動ができていない。鬱々とした日々を送っている。今日国王陛下から公爵閣下への呼び出しがあって王宮に出掛けた。帰宅後公爵はマリエールとロザリアを自室に呼んで説明した。

「マリエールとロバート殿下の婚約解消は決定した。マリエールの冒険者活動は認められたけど、婚約解消の時本人が立ち会う必要があるかも知れないので冒険者活動は屋敷から通うこととの厳命があった。ロザリアは王太子妃候補になった。一度国王陛下とロバート殿下と面談した上で決めることになった。面談の日時は国王陛下に予約して決めることになった。婚約解消の方法も婚約者を決めた上で決定することになった。」

マリエールにとっては思った通りになった。屋敷から通うのは不便だけど冒険者活動が認められるなら多少の不便は文句は言うまい。これでロザリアがロバート殿下の婚約者になれば言うことなしだ。ロザリアが、

「ロバート殿下の婚約者候補とお聞きしましたけど、ロバート殿下と話した記憶がありません。姉上と剣術の訓練していた記憶はあります。ロバート殿下は私に関心がないと思います。」

公爵閣下とマリエールにもロバート殿下がロザリアと会話している記憶はなかった。マリエールは、

「多分それは、ロバート殿下が真剣に訓練に取り組んでいたせいだと思うわ。ロザリアに関心がなかったわけではないと思うわ。」

公爵閣下も、

「ロバート殿下は、穏やかだが、どちらというと無口な方だ。屋敷に見えた時もマリエール以外とは挨拶程度だった。もう4年ほど前の話しだ。ロザリアの記憶に残っていないだろう。」

ロザリアはあまり納得していないようだ。

「私が婚約者候補で今度面談がある予定とお聞きしましたが、面談の結果、私からお断りする選択はあるのでしょうか。関心がないなら断わられる可能性が高いと思いますが。」

公爵閣下は、

「こちらからお断りする選択肢はない。王家と公爵家の婚約だ。よほどのことがない限り婚約は結ばれることになるだろう。」

ロバート殿下がロザリアに関心が無くても婚約者になる可能性が十分にあるということだ。

 ロバートには、あまりロザリアの記憶がない。確か愛らしい感じの少女だったとは思うがマリエールの印象ばかりが強過ぎてロザリアの印象が殆どない。道を違えたマリエールだが今でもマリエールのことは好ましく思っている。できれば婚約者がマリエールでいて欲しいと思うくらいには。マリエールとロザリアは良く似た姉妹だという。ロザリアがマリエールの代わりと考えるのは間違っているがどうしようもないことだ。ロザリアがマリエールの代わりかどうかは考えても仕方ないことだ。公爵家から王家が婚約者を得ることに意味があるのだから、ロザリアのことが好きになろうがどうなろうが関係ないことだ。マリエールに未恋など残しても害はあっても益はない。ロザリアに会うことがややもすれば憂鬱になる。

 ロザリアに会う日時になった。公爵とロザリアが入室してきた。確かにロザリアはマリエールに良く似た美少女だ。公爵は、

「ロザリアを連れてきました。国王陛下とロバート殿下がお気に召したら婚約者にして下さい。」

ロザリアも、

「公爵の娘、ロザリアと申します。お見知りおき下さい。」

と言った。ロバートは、

「ロザリア、久しぶりだね。以前は愛らしい少女だと思ったが、当時はマリエールとの訓練に夢中で挨拶程度しかしなかったね。4年振りに会って、君ほ大きくなったし綺麗になったね。こんな気持ちはマリエールには持てなかったよ。4年間も頻繁に会っていたからね。マリエールとは道を違えてしまったけれど、まだ未恋があるよ。こんな気持ち害にしかないと判っているけど。そんな僕でもいいと思うなら、ロザリア、君と婚約するよ。他の女に未恋を持って君と婚約するなんて、最低だと思うけど。婚約は家同士でするものだからね。できるだけ君を幸せにするよ。誠意を持ってて君と接するよ。」

婚約は成立方向で進んでいった。ロザリアが納得したかどうかロバートには判らない。自分の姉に未恋があると言ってしまう婚約者なんて最低だろう。断わりたい相手だろうと思う。でも王太子との婚約だ。断わることはできないだろう。

 ロザリアは怒っていた。マリエールに、

「ロバート殿下は姉上に未恋があるそうよ。そんな人と私は婚約するのよ。姉上と婚約すればいいじゃない。冒険者を辞めるだけで済むことよ。妹を不幸にしてまで、冒険者は続けること? 信じられないわ。」

ロザリアとロバートの婚約は成立した。身内だけの取り決めだ。一般にはロバートは婚約はマリエールのままだ。

 婚約解消の方法は、国王陛下も公爵閣下もいる社交の場で、ロバート殿下がマリエールを婚約破棄することなった。婚約破棄が一番穏便な解消の方法だと言われた。ロバートがロザリアとパートナーにして、マリエールを断罪することになった。

 ロバートはロザリアと腕を組み社交の場に入場した。マリエール一人でいる。ロバートは、

「社交の場ではあるが、言っておかなければならないことがある。マリエールとの婚約を破棄する。マリエールは私の婚約者に相応しくない。冒険者ばかりして王妃教育も公務も蔑ろにする。もはや捨て置けない。ここにマリエールとの婚約破棄を宣言する。」

マリエールは黙って聞いていた。聞いた後に、

「婚約破棄の件、しかと承りました。私は冒険者として生きていきます。」

婚約破棄は上手くいった。誰も傷つかなかった。ロザリアとは正式に婚約した。マリエールは冒険者としての制限がなくなり時々外泊するようになった。ロザリアは王妃教育を受けるようになった。ロバートは公務に邁進するようになり国王陛下の職務が若干減った。

 マリエールは冒険者として活躍した。フライ、転移、アイテムボックスを持ち、行動範囲は広く魔法は強い。飽くなき探求心の末、遂にはアンドロイド魔法まで辿り着いた。休むことなき無敵の戦士。共有アイテムボックスまで手に入れた。未到達ダンジョンを幾つか到達して、ドラゴンを何頭か討伐した。破竹の勢いで活躍してついた名前が古竜の翼、実際古竜と対決してこれを倒したのは有名な話しだ。何時しかSランク冒険者となり指名依頼のみを受けるようになった。空いた時間で島々の探索、見付けた物は砂糖やフルーツ、カカオや宝石、貴金属や数々の食料、複製して加工して先ずは公爵領で売り捌く。ついた名前がマリエール商会。冒険者活動と商会活動をこなす。マリエールがもらした言葉が、

「王太子妃に成らなくて本当に良かった。」

飛ぶ鳥を落とす勢いで成長する古竜の翼やマリエール商会の敵はライバル冒険者やライバル商会、彼らが狙うのは古竜の翼とマリエール商会の秘密。幾ら探っても知りようがない。

 王太子ロバートと王太子妃ロザリアは正式に結婚した。マリエールの活躍は既に二人の耳に入っている。当然マリエールも結婚式に招いた。しかし元婚約者では出るに出られない。マリエールはロザリアに贈り物をして二人だけで祝った。ロバート殿下には手紙を書いた。

「お幸せに、妹をよろしくお願いします。」

ロバート殿下はマリエールに会って話したいと思った。今思っていること考えていることを語り合いたいと思った。今後のことについても話し合いたいと思った。

 国王陛下が引退したのは、ロバート殿下とロザリアが結婚して10年後だ。二人の間には王子王女が2人づつ生まれた。国王になったロバートは王妃はロザリア以外には娶らなった。

 ロバート国王の治世下で国は安定して豊かになった。マリエール商会のお陰だ。ロバート国王はマリエール商会に優遇策を取りマリエール商会はロバート国王の期待によく応えた。

 ロバート国王は治世10年を迎え名君と呼ばれ、国民の賞賛を受けた。国に最も貢献した者としてマリエールに勲章を授与することになった。勲章の授与式は盛大に行なわれた。授与式の席上、ロバート国王は、

「マリエールを国王代理とし、公爵位を与える。」

と宣言した。公爵の領地は国の南の島々、財源はマリエールの納める税金、担う仕事は国防、治安維持、開拓、産業、事業、流通など各種にのぼる。マリエール公爵は強大な軍事力を堂々と持ち、盗賊団、山賊、暴力団、悪徳商人、悪徳庄屋、悪徳役人、奴隷商人、悪徳貴族等を堂々と討伐した。灌漑事業、開拓事業に積極的に取り組み貧民達の就労の機会を広げた。産業、事業は海岸部のクラーケンの侵入を防止ための防壁を設置して、養殖を盛んにしたり水産業を盛んにした。農道や山道を整備して農林水産業を盛んにした。製造業や流通はマリエール商会独自に行なったり、製造業者な商人を支援したりした。芸術、芸能、研究にも支援して国民生活を豊かにした。美術館、博物館、科学館、風光明媚な公園を幾つか建てて国民に公開した。

 マリエール公爵の活躍は広く活躍していることは国民に知れ渡った。マリエール公爵とロバート国王の会談の場が設けられた。ロバート国王は、

「君のお陰で、国は豊かになった。平和で安定している。全て君のお陰だ。それでお願いだ。形だけでいい僕と結婚して欲しい。」

思わぬ申し出だ。30過ぎの二人に結婚する意味があるのだろうか。マリエールは、

「それはどんな意味があるのでしょうか。理解ができません。」

ロバート国王は、

「君は元婚約者で僕は今でも愛している。しかも君はアンドロイド魔法でアンドロイドを自在に操り、一箇所に居ながら多数のアンドロイド自由自在に操れる。王宮に居ながらでも同じはずだ。国民は象徴的な国王と実質的な国の支配者の遊離を危惧している。僕は君の自由を束縛したりしない。僕と国民のために結婚して欲しい。」

馬鹿らしいと思いながらもロバートの言葉を聞き入った。マリエールは、

「意味のない結婚だけど、形だけなら応じてあげて構わないわ。象徴的な国王と実質的な国の支配者の遊離を国民が危惧していると言うなら。私は誰にも束縛されない。ロバートなら知っているでしょう。王宮で束縛されるなんて真っ平ごめんだわ。」

形だけの結婚式が盛大に行なわれた。象徴的な国王と実質的な国の支配者の結婚式だ。これで国がまとまるだろうと誰もが喜んだ。結婚式は予定通り進行して新婦の挨拶だ。マリエールは、

「私は誰にも束縛されません。国にも夫にも王宮にも、その条件が守られる限り私はこの結婚に同意します。逆に守られないなら結婚を破棄します。」

やはりマリエールは苛烈な女だった。

 最後まで読んで頂きありがとうございます。ロバート国王とマリエール公爵の生き方に共感頂けたでしょうか。続編も考えております。楽しみにして下さい。

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最後の結婚は駄目だろう?妹をバカにしてるの?尊重しているのなら、結婚してはダメ、どんな理由をつけても、とって付けたものでしかない。必然性が伴わない。それ以外は、まあまあ良かったけど最後の結婚でぶち壊し…
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